石郷岡病院事件裁判・公判、判決のおかしい部分

判決文は表に出すことができないので、判決の概要を書きます。
なるべくわかりやすく書いてみます。

判決は簡単に言えばこういうことです。


・菅原被告は1回だけ頭(顔)を踏んでいるから暴行ですよ。

・田中被告は映像が不鮮明だし、暴行と言えるかわからないし、映像を見た感じ、正当な医療行為ですね。※1

・オムツ替えの時に被害者の頚椎骨折が起きました。

・でも菅原被告の違法な暴行で骨が折れたのか、田中被告の行為で骨が折れたのか、わかりませんね。

・そうすると、菅原被告の暴行が原因で首の骨が折れちゃったのが被害者の死につながったのか、田中被告の医療行為が原因で首の骨が折れて死につながったのかわからないですね。※2

・菅原被告の暴行で首の骨が折れたのかわからないから、傷害罪じゃなくて暴行罪ですね。※3

・だから菅原被告は暴行罪で罰金30万、田中被告は無罪ですよ。


※1…共同正犯(刑法第60条)不成立の根拠
※2…傷害致死罪(刑法第205条)不成立の根拠
※3…傷害罪(刑法第204条)は暴行により怪我をした場合。暴行罪(刑法第208条)は暴行で怪我をしていない場合に適用

ということです。
結局、頚椎骨折が起こるような場面は被告らの暴行場面しかないのに
原因不明で終わらせたのがこの裁判です。
暴行はあったけど、結局どうして首の骨が折れたのか、なーんにもわからなかったよ〜という無責任な判決でした。


次にこの公判、判決のおかしい部分を書きます(主なもの)

・千葉地裁は検察が強く求めた、医療看護の専門家を裁判の証人として呼ぶのをどうして断固拒否したのかな?専門家を呼ばないでどうやって公正な判断をするのかな?

・それなのに、公判中では裁判所も被告人弁護士達も、なぜか被告の味方の石郷岡病院関係者「だけ」にこれが「医療行為かどうか」意見を求めたよね?そりゃ、被告人の味方だから医療行為だって答えるよね。
結局、石郷岡病院関係者に医療行為かどうか聞いてるのだから、やっぱりはじめから専門家を呼ぶべきだったんじゃないの?これって、おかしくないですか?

・証拠採用されたビデオ映像を、千葉地裁が「これ、うちで預からせてくれない?うちで見て暴行か医療行為か決めるわ。だから、医療行為かどうか専門家に意見を聞かなくていいじゃん」としました。間違ってるよね?

・医療看護の専門家でもない裁判所や裁判員は、専門家の意見を聞けず、石郷岡病院関係者の被告人に有利な意見しか聞く機会がないよね。どうやって正しい医療行為と判断するの?証拠として偏っていませんか?おかしいですよね?

・するとどうなるでしょう。普通は虐待だと思う行為でも石郷岡病院関係者の、被告人に有利な証言で正当な医療行為になりますよね。これっておかしくはないですか?

・菅原被告は「報復行為」として右足で被害者の顔を踏んだと裁判所は認めたけど、右足って2歩目なんです。最初の左足でも蹴ってるように見えるけど、なんで左足は暴行じゃないのかな?おかしいよね。なんで左足が暴行ではなくて、右足だけが暴行って決めたのか、裁判所もその理由がわからないんだって。


・裁判所が「うちで預からせてね」と言って証拠採用されたビデオ映像、裁判所が自分達で「証拠になるねぇ」と預かっておきながら、判決で「やっぱりビデオ映像は不鮮明だからよくわからないわ」っていうの、おかしくないですか?

・田中被告についても、被害者を抑えるために覆い被さって「膝を浮かせて」抑えつけてるって
なんか不自然じゃないですか?しかも膝は床に置いてたんだって。どうやって抑えてるの?
しかも菅原被告が足で踏みつけても、田中被告はずっとその格好で抑え続けてるよね。
まるで菅原被告が暴行するのを手伝ってませんか?

・なんで被告人である菅原被告の書いた看護日記とか言い分をそのまま認めちゃうの?
犯人の言い分だけ聞いていたら、犯人が「やってません」っていえば、みんな無罪になっちゃうよね?


どうですか?この裁判は変だと思いませんか?
なんか色々と変だと私は思います、被害者家族ということを抜きにしても。
だから、悲しいのではなく怒りと呆れが交錯した感情でいます。
不当判決だと強く思います。

これね…多分ですが被告弁護士達もびっくりしたと思いますよ。
と同時に被告弁護士達も、精神科患者が被害者だとこんなに不利なんだと驚いたと思いますね。
棚から牡丹餅、と思ったでしょう。
だって映像も残って言い訳も苦しく証拠を元に説得力のある弁護をできるわけもなく
大げさに演技?をして同情を誘い、裁判員の心情に訴える作戦なのは、裏を返せば被告側に不利だと思っていたからですよね。
ところが、執行猶予くらいつけば御の字だったはずが、無罪と微罪だったんですから
笑いが止まらないのではないでしょうか。
なにしろ、検察から懲役8年も求刑されていたわけですから。
検察にとっても晴天の霹靂だったと思います。根拠もなく懲役8年を求刑したわけではないのですから。
不当判決ですから、私は強く控訴を求めますが、精神科患者が被害者ですからね…
どうなるかは、わからないのが正直なところです。
まあ、検察も傷害致死罪を認定できると思って起訴したのですから、控訴を諦めるというのも
どうなのかな、とは思いますね。
ましてや、公判前整理手続が違法であったとも言えますからね。
千葉地裁は不当に証人請求を却下したという事実が。
そのせいで、実際にこんなメチャクチャな公判、判決が出ましたしね。
正当な医療行為かどうか、裁判所は被告らの味方である石郷岡病院のスタッフの証言で判断した。
検察は完全なアウェイ状態で戦ったわけです。
精神科患者の死なんて気にするわけがないのでしょうから…
かなりの傍聴人も恐らく非常に違和感を感じたと思います。
実際、裁判長が何を言っているのかよくわからない、説得力のないものであったのですから。
複数のマスコミ関係者も判決を聞いて、驚くとともにある記者などは憤慨の域を超える
とまで仰っていたくらいですから。
けれど高知白バイ事件のような、不可思議判決が司法判断であるのは間違いがないところで
今回の裁判も、公判前整理手続の時から異常事態が発生していたわけなのですよね。
今回の判決を知って、やっぱり准看護師らは悪くない、と思われることを危惧していますが
このようなグレー判決で、しかも原因究明がなされていない、いい加減な判決なのですから
このまま判決が確定すれば、日本の司法もここまで狂ってきたのかと言わざるをえないと思いますね。

今年も宜しくお願いします

早くも2016年です。4年前の今日、私の弟が石郷岡病院の准看護師達に暴行され、頚椎骨折及び頚髄損傷を負わされた日でもあります。
そして2日間放置されていました。それから私にとっては、正月を祝う気にはなれないでいます。


昨年は石郷岡病院事件がTV局各社で報道され、新聞にも取り上げられ、事件から3年6か月後に准看護師達が逮捕されました。
しかし刑事裁判は、傷害致死罪ということで裁判員裁判になるために、準備に時間がかかるとのことですので
いつになるのか私たちにもわかりません。
先日3回にわたって記事にした某病院での事件。こちらも石郷岡病院事件と同じ2012年に起こった事件ですが
2年後の2014年に裁判があったそうです。
刑事裁判では、昨年新たにお願いした3名からなる弁護団とともに闘っていきたいと思います。

この大阪某病院の事件記事はFacebookで随分シェアされています。
私がこの事件を記事にしたのは、病院での虐待や実情をみなさんに知っていただきたいということもありますが
被害者Xさんが死に至るまでの経過が、坂本氏を原因とするには不自然な点があること。
患者Wさんの証言をすぐに証言能力なしとした病院長、しかし裁判ではある程度の証言能力が認められたのに
患者Z氏の暴行行為と死因との因果関係に関しては言及されていないこと。
元看護師である坂本氏を全面的に擁護するわけではありませんが、それにしても大変な違和感の残る判決内容であることです。
私の率直な感想としては、東北で准看護師による筋弛緩剤殺人事件がありましたが、その事件と同じくらい違和感を感じています。
結局、いち看護師は病院側に不都合があると、病院の捨て駒となり得ること。

石郷岡病院の2准看護師のような暴行看護師はともかく、真摯に日々働いている看護師さんも明日は我が身かもしれませんね。
以前にも書きましたが、私の息子は看護師を目指しています。そう書いたら「病院に酷い目に遭ったのに看護師を目指すとは見下げた奴だ」という批判を受けましたが、私や息子は「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という思考ではありません。
それに実際、私の従妹は正看護師として精神科病院に勤務していますが、石郷岡病院の看護師たちとは全く違いますし
仕事に誇りを持っています(この件についてもブログに書かないほうがいいと忠告されましたが、苗字も全く違うし、どこの精神病院かとも書いてないので推測不可能です)
彼女はいろんな科があるのに自ら進んで精神科の外来、病棟勤務をしています。弟の事件後「うちの病院に何で来なかったの?」と言われましたが、今思えば本当にその通りです。従妹がいれば弟も安心だったろうし、少なくとも石郷岡病院のような扱いを受けることもなかったでしょう。
それに、石郷岡病院から救急搬送先の大学病院では看護師さん達には大変親切にしていただきました。
感動したのは、ケアも全て丁寧なうえに、頚髄損傷で首から下が麻痺した弟は排尿も難しくなったのですが
看護師さん達が話し合って、勉強しあって次々とアイデアを持ち寄って最善の努力をしてくださったことです。
例えば膀胱にはクランベリージュースが効くという話なので私達に是非、試させていただけませんか?など。
いつも弟に優しく話しかけてくださり、弟も看護師さんを「○○さん」と呼んで要求を伝えても嫌な顔一つせず笑顔でいてくださったこと。弟にも笑顔が戻り看護師さんが「陽くんが笑ってくれたんですよ、私とても嬉しくて」と言ってくださったり。
去年父が大量喀血を起こし偶然にも同じ病院に入院したのですが、弟の訃報に絶句されていました。
「あんなに笑顔が素敵だったのに…」と。


話は戻りますが、残念なことに、この大坂の某病院事件は、マスコミの注目も浴びずにろくな取材もされていないと思いますし
精神科関係の会や団体も、単に看護師が虐待した事件、と内容を把握していないようです。
仮にこの事件に触れたとしても、病院の杜撰な体制や患者の虐待問題に終始されていて全体像として捉えられていないように思います。
確かに精神科の被害者の方々からすれば、虐待問題や病院の杜撰な管理体制が問題なのであって、看護師の処遇なんて知らん、となってしまうのは仕方がないかのかもしれませんが…
でもこれでは精神科の問題解決には程遠いのではと私は思っています。
木を見て森を見ずではないかと思ってしまいます…
付け加えれば上記が、私がいかなる被害者関係の団体にも所属せず共闘関係を断わってきた理由の1つでもあります。


精神科被害者団体といえば、そういえば私のところに石郷岡病院で困っているという電話がありました。
某議員関係からの伝手で、千葉の某精神科医療被害者の会の代表から電話がありまして、石郷岡病院の医師が暴言を吐く、怒鳴る、入院中だが転院をさせてくれないというものでした。しかも複数件です。
転院などさせない、もし転院するのなら一回自宅療養にしてからじゃないとさせない、石郷岡病院からの直接転院は認めない等々…
病院から一刻も早く転院させたいのにどうすればいいのか、と。
ああ、弟の事件が発覚してからもまだ問題行動を起こしているのかと呆れるばかりです。
TVや報道で実態が明るみになった後も問題を起こすとは末期的症状なのではないでしょうか。
弟の事件に関しても、2准看護師の逮捕起訴後も一切の説明および謝罪等もありませんから、推して知るべしということでしょうか。
結局、事故調査委員会が立ち上がったという話も聞きませんし、恐らく対マスコミへのパフォーマンスで、事件報道が鎮静化するのを待って平常運転なのでしょうね。


本当に、この事件の推移を見守ってくださる方々には裁判開始~結審まで何も目新しい情報をお伝えできなくて申し訳ありません。
当然私は、事件に関する様々な情報を捜査資料から知っていますが、これは公表できないので仕方がありません。
でも警察の捜査のおかけで私たちが知ることができなかった内容を知ることができ、新しいチームで一所懸命に捜査してくださった
千葉中央署捜査第一課のみなさまには感謝しております。



今年もみなさまのご支援を賜りたくお願い申し上げます。



2016年元旦




障害者の通所施設さん、虐待を通報した職員を訴えないでください!(転載)

さいたま市にある障碍者の施設で虐待を通報した方が、施設側に民事裁判で訴えられるという事案が判明しました。
私も石郷岡病院事件の際に署名をお願いした「Change org」というサイトで現在署名活動が行われています。
どうか、拡散、署名をお願いいたします。

この施設のHP(問題の施設HP)では謝罪どころか「通所者の親の声」なる、虐待の肯定ともとれる意見が掲載されています。
通所者の裸の画像を撮影したのは虐待であると、さいたま市から行政処分を受けているにもかかわらず
このような文章を掲載すること自体、施設がこの「虐待行為」について、どのように受け止めているかの表れでもあるのではないでしょうか。加えて、通報者を民事訴訟で訴えるという信じられない行動をしています。
一般に、許可なく他人の裸を撮影したら、それだけで不法行為になります。
それがなぜ施設だからといって許されると考えているのでしょうか。


また、通所者が訴えることが難しい障碍者施設や精神科病院。
内部の悪事を通報してくれる案件では、職員の方を保護するなり、不利益を被らないようにしていただきたいです。
通報してくれる職員の良心が頼りなのですから。



署名サイト「change.org」


以下、転載いたします。








2015年11月22日埼玉と鹿児島で、虐待通報の職員に施設が賠償請求するというニュースの一報がありました。



 障害者の通所施設で虐待の疑いに気付き自治体に内部告発した職員が、施設側から名誉毀損などを理由に損害賠償を求められるケースが埼玉県と鹿児島県で起きていることが22日、分かった。

引用 http://www.47news.jp/CN/201511/CN2015112201001352.html



 さいたま市の就労支援施設に勤めていた女性元職員(42)は十月、運営主体のNPO法人から約六百七十二万円の損害賠償請求を通知する内容証明郵便を受け取った。

 女性は上司の男性職員が知的障害のある男性利用者二人の裸の写真を撮影し、無料通信アプリで送ってきたり、職場の共用パソコンに保存したりしていたため三月に市へ通報。市は施設へ監査に入った。女性が自主退職した後の六月、虐待を認定、改善勧告を出した。

 施設側は「女性はテレビ局の取材も受け、他にも虐待があったと虚偽の説明をした」と主張。「外部からの業務受託の予定が取り消され、損害を受けた」として賠償を求めているが、女性は争う構えで、裁判に発展する可能性もある。

引用 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201511/CK2015112302000124.html



目を疑いました。内部告発者の素性が知られていることも怖いですが、訴えた事でどういう反響があるのかのリスクを予期できていなかったのかなと思いました。



弁護士は「通報者の行為は、正当であり、緊急避難としても擁護され、違法性を阻却するから、名誉毀損等の主張は権利濫用であるとして排斥されるべきでしょう。もちろん、名誉毀損等は同じく法律家からの入れ知恵であるとおもわれます。」と話し、外部からの業務受託の予定が取り消され、損害を受けたことを理由に賠償を求めていることも「これも自業自得であり、逆恨みも甚だしいというほかありません。」と述べました。



断っておきますが、賠償請求された職員にも、施設側にも、どちらかの肩を持つわけではありません。私は、今後こういったことが起こらない社会を望むものです。



障害者虐待の通報者が「本人よる届出」24.9%、「警察」14.6%を抜いて「相談支援専門員・障害者福祉施設従事者等」が27.6%と最も多く、ここが通報を萎縮するようになると影響は大きいかもしれません。



清水勇人さいたま市長におかれましては、



1.虐待を通報したら障害者施設から損害賠償請求され裁判もしなくちゃいけないようなことが起こらない市政運営をお願いします。

2. 障害者始め、最近世間に厳しい目を向けられている妊婦や子育て中のママさん、子供たちに優しい、安心して暮らせる地域社会を目指し、啓蒙して行ってください。



これらのことを提案します。



【最後に】

賛同者みなさまの思いが、さいたま市で形になりましたら、それが周りの市町村、そして埼玉全域へ、さらには全国へと伝播することを期待いたします。




ある精神科病院の事件3・インタビュー

坂本氏へのインタビュー




Q)どのような状況で事件を引き起こしたのでしょうか?


坂)消灯後、自分はAさんと一緒にナースステーションにいましたが,その時にXさんが大声をあげているのに気づいたんです。
とにかく甲高い、腹から出ているような叫び声で隣のイスに座ってたAさんも、『今日のXさんすごいねぇ、初めてやねぇこんなん』とか話し掛けてきたほどです。
そしたら22時ちょうどですね、ナースステーションに患者Zさんが「うるさくて寝られへん」と来たんです。
それからAさんに頓服のアモバン10mgを渡されて、自分はXさんの部屋に向かったんです。



Q)Xさんの部屋がナースステーションの近くだったからXさんの声が響いていたのでしょうか?


坂)いや、そこそこ距離ありましたよ。30メートル近いかも知れません。
警察の書類に実測距離が書いてありましたが、それくらいだったような気がします。




Q)Xさんの部屋は相部屋だったのですか?


坂)そうです。6人部屋で、右側に3列ベッドがある、その真ん中でした。




Q)Xさんはどのような状態でしたか?


坂)両手をボクシングのジャブみたいな感じで、空中に向けてずっとパンチしてて。もちろん大声もそのまま。
あと、ベッドの頭側に柵、救急救命の時とかに外すへッドボードというものがあるんですが、そこに頭が乗っていました。
ベッド自体は平らでしたから、自分の手足の力で上っていったのでしょうね。


Q)そんなに手を振り回している状態でアモバンを処方、服用させられたのでしょうか?


坂)与薬の時は、一瞬手が止まったこともあって、スムースでしたね。
Xさんの顔の真横の方から手を出すと、特にパンチとかも当たらなかったです。
でもまた同じような大声とパンチの状態に戻ってしまって。 声かけしてなだめようとしてもダメでした。
このままではまずいと思って。
最初は仰向けの状態で、上体を布団で覆ったんですが、すぐに飛ばされてしまって。



Q)それでXさんを報道されたような状態にしてしまったということですか?


坂)お恥ずかしい話で恐縮ですが、そうなります。




Q)Xさんは寝返りをうてたのでしょうか?


坂)はい、そういう認識でした。





Q)報道では布団を巻き付けた、という話ですが実際はどのようにしたのでしょうか?


坂)布団は体と同じような向き、タテ長ですね。夏の布団です。
その裾をマットレスと体の間に入れ込む感じです。
上は右側を向いた顔のあたりまで入れ込んでいて、下は膝が出るくらいだったように思います。




Q)巻き付けたというより、ドーム状に近いかんじですか?


坂)そんな感じだと思います。寝返れば外れるだろうと考えていました。
そもそも、外れないようにするのなんて無理だと思っていました。
また大声が響いたら、また来て何か対策を考えようと思っていて。




Q)でもXさんはアモバン(睡眠薬)を飲んでいたのですよね?


坂)麻酔と違ってすぐは効かないですから当然、寝る前に寝返るだろうと。
ただ22時の前、21時の定期薬の時にもアモバン10mgが処方されていたのを警察で知ってびっくりしましたね。
すぐに効いて眠ってしまう可能性があったわけで。
自分だけでなく他の人の証言でも、アモバンが連続だったのは知らなかったようです。



Q)処方上限量10㎎の2倍、つまり20㎎のアモバンがXさんに処方されていたことになりますよね?危険ではないですか?これも医師の裁量権ですか?


坂)だから私もびっくりしたんです。
その後Xさんの看護記録を見たら、この日みたいに1日合計20㎎になっていたのが覚えているだけで20例以上あったように記憶してます。






Q)実際のところXさんは、どの程度動くことができましたか?検察側の主張では身体能力の低下が著しく、とありますが?


坂)入浴が一般浴と言って、歩ける人用の方でしたね。歩けない人は、機械浴というものになりました。
Xさんは、手を引いて歩いてもらって入っていました。
あとは、食後に部屋の外から、やっぱり手を引いて部屋まで戻っていましたね。
あとは、カーテン引っ張ったりとかもありましたね。看護記録上でも、私の記憶でもこういう感じです。
車椅子に乗っているときは、両足で踏ん張る形で、後ろにひっくり返ることがあって車椅子利用時は、後ろに壁がある所で過ごしてもらう事になっていましたね。あとはベッドから何度か落ちてたりとか。



Q)しかし結果的にXさんは布団の中で亡くなってしまいました。


坂)おそらく出ようとしても結果として出られなかったのだろうと思います。
今から思えば認知症だったために、どうやって布団を外せばいいのかが分からなかったのではないかと。
そういう感じで仰った専門家証人の医師も居られました。
単に腕の力だけで外そうとしたら、体重が掛かっているのですからかなり難しかったろうと思います。
そう思うと、ずいぶん危険で愚かなことをした、Xさんに申し訳ないなと悔やんでいます。



Q)ところで判決文には「危険性の高い行為とは言えない」と書いてありますよね?


坂)一応そうなっていますが・・・。
これは死因が布団による窒息ではなく嘔吐したことが原因で窒息したから、のようです。
ただ布団から抜けられなければ、やがて窒息しかねないので布団から脱出できない状態はやはり危険だったろうと私は思います。




Q)事件のあった時、目撃者がいたというのは本当でしょうか?


坂)はい、Wさんという方です。





Q)傍聴記録にもありますが、内容を改めて教えていただけますか?


坂)今はもう資料を持っていないので、うろ覚えの点がありますが・・・。たしか、部屋に入ってきたのが二人。一人はXさんに布団を被せ、もう一人のほうが「静かにしろ」と言って布団を押さえつけた、というような内容でした。
で、その人のことを「死ぬよ」とWさんが注意したら、Wさんを殴ってきた。
それでWさんが抵抗したら逃げていった。Xさんはもう声を出さなかった、というような内容だったかと。
顔は暗かったこともあり、見えていないようでした。






Q)あなたは一人で部屋に入ったそうですね?



坂)そうです。なので弁護士さんは、私が部屋を去ったあとで患者さんの誰かが部屋に入ってきて布団を押さえつけ、それで腹圧が上昇して吐いても司法解剖の結果通りになる、というように主張していました。




Q)それからXさんが吐いたということですが?



坂)Xさんは食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎があり、通常の人よりも嘔吐しやすかったようです。    
これは自分だけでなく他の看護師も事件当時は知らなかったことなのですが・・・。




Q)目撃者のWさんは殴られていたそうですね?



坂)はい。Wさんだけでなくもう一人、Xさんを挟んで反対側のベッドのYさんの、合計二人が、鼻血を出していたり顔が腫れている状態でした。この二人と、あとは亡くなられたXさんの顔、額の辺りにも赤い部分があるということで、この3枚の写真が法廷に出ました。




Q)被害者Xさんの両隣の患者さんも怪我をしていたということですか?



坂)ええ、当時はとにかくびっくりしました。少なくとも両隣の人に関しては自分の行為だけで、顔面を負傷するはずが絶対に無いんですから。何が起こったのか?と思いました。
私はWさんの血圧を測ったり、傷の手当とかもしたような覚えがありますが、彼は「やられた」とか言いながら、部屋入り口のドアを指さしていたような気がします。





Q)裁判でも顔を殴られた患者さんの証言能力について争点になったようですね。



坂)実はそれが争点になりました。Wさんの主治医は理事長先生でしたが、このWさんの証言能力を「全くなし」と回答していた書面が出ました。ですが、それまでのWさんの看護記録から証言能力がないようには思えなかったので、弁護士さんはこのWさんの看護記録を証拠として提出し、看護長さんにも証人に立って頂きました。





Q)患者Wさんの証言能力について、裁判ではどのように受け止められたのでしょうか?


坂)判決文に「本件後、他の患者が被せられた布団を、押さえつけたことがうかがわれる」とありますので
恐らくWさんの証言能力は認められたのだと思います。
ただ「その時点や態様、程度は証拠上明らかではなく、死亡に与えた影響も不明」と続いています。





Q)布団を抑えつけたかもしれないという患者さんは?


坂)22時に睡眠剤を貰いに来たZさんという方かも知れません。事件当日、警察の調べを受けていました。
このZさんが、Wさんを殴ったことを認めていたのが法廷でも明らかになりました。





Q)Zさんを事件当日の22時以降に誰も目撃していないというのはなぜでしょうか?


坂)どうも他の看護師の証言によると、アモバンを持って部屋に向かう私の後ろをつけていたそうです。
自分は全く気づかなかったんですが・・・。
あとは10時15分に、またナースステーションに「うるさい」と訴えに来ていますね。
それで今度は、Zさんの頓服の眠剤をAさんが渡しています。
その後25分になると私は彼女に休憩を促されて、休憩室に入ってしまいましたが
このあとも2度、ナースステーションのAさんの元を訪ねているそうです。
その様子は、無言で立ち去ったり、口ごもっていたりした、とのことです。




Q)その後、患者Zさんはどうされているのでしょうか?


坂)弁護士さんいわく、わたしが起訴されて1ヶ月位経った頃に退院され母親と暮らしているそうです。
また少なくともこの裁判当時までは、特にこの件で逮捕や起訴はされていないそうです。
仮に自分だけでなく、患者さんもXさんの死亡の原因になっていたとしても私の罪は変わらないだろう、と私は思います。
それは自分があのような行動をとったせいで、抵抗できずに亡くなられたのだろう、と思うからです。
うつ伏せにして、しかも布団で覆ったりしなければ仮に誰かに襲われたとしても、何らかの抵抗はできたでしょうね。




Q)Xさんをうつぶせにして、布団をドーム状に被せた理由がよくわかりません。



坂)Xさんの怪我を無理に防ごうとしてしまったんです。信じがたいかも知れませんが、そういうことになります。
他の患者さんの暴行や、ベッドから落ちることを恐れたのが原因です。




Q)過去にこの病院で殺人事件があったというのは本当ですか?


坂)事件当日、1時間位前でしょうか。一緒に配役に回っていたBさんから、過去の事件について聞いたんです。
これは法廷でも話しましたが、どこかの部屋でベッドの柵が外れていて、壁か何かに立てかけられていたんです。
それをBさんが「危ない」と言ったんです。続けて「昔、2階の病棟で殺人事件があった」というような話が出て。
ベッド柵で患者さんが他の患者さんの頭だったかを殴ったような話で。
まさかぁ、と思ったから「本当に殺人事件?」と聞いたんです。
するとBさんは「殺人事件だと思いますよ。ドラマのように白いロープが人の型になってて黄色い”立入禁止”テープも貼ってあった」とかそういう話でした。
それでナーバスになり過ぎていたかも知れません。
あとは当時、自分のいたフロアでは骨折とかの大きな怪我が何件か続いていたんです。
それも夜中に多かったので、警戒しすぎてしまったのかも知れません。



Q)随分と病院内で怪我が多発していたようですね。


坂)私の事件の少し前、これは日付も覚えていて2012年の9月1日の早朝ですが、Uさんという男性の方がベッドから転落して亡くなられています。警察も検死に入っています。
自分は連休を頂いていたので詳しいことはわからないですが、血だらけの中で亡くなっていたとか。
抗血液凝固剤のワーファリンを飲まれている方だったようです。事件にはなっていません。
私も事件当時、この一件が頭にイメージで浮かんでいました。




Q)私は弟の事件のせいもあり、やはり精神科病院での怪我は大変気になります。他に印象に残っている患者さんの怪我はありますか?



坂)その病院に勤務して間もない頃、やっぱり夜間だったと思いますが大きなコブを頭部に作った女性がいました。
高さが5センチ以上あって、当然ヨコ幅はもっとあるわけです。長いところで10センチ位あったかもしれません。
これは怖かったですね。漠然と「命に関わるのではないか」と思いました。
その後は特に何もなくすぐに治っていたように思いますけど。
あとは、朝に顔がお岩さんのように腫れ上がっていたのを発見された女性がいました。まぶたが開かなくなっていたと思います。
骨折ですと転倒が原因とわかるのもあれば、夜中で原因不明というものがありました。
その中でも一番印象に残っているのは、ちょうど弟さんのように個室に居ることが多くベッドではなく布団を使われる女性だったのですが、何故か鎖骨を脱臼と骨折を併発した例です。
中腰で立つのがやっとのような方で、移動は四つ足、部屋の中は布団しかなかった状態でした。
原因不明とカルテにあったような気がします。骨粗しょう症という話も出ていなかったですね。




Q)女性の顔にこぶができたり、お岩さんのように腫れたり、個室で布団を使っている女性が鎖骨を骨折と脱臼ですか?そのような怪我は普通にしていたら起こり得ない。弟の事件(石郷岡病院事件)を彷彿とさせる出来事だと思います。



坂)はい。おそらくご自身の筋力では、そんなに肩をぶつけられないでしょう。
この方は3食の食事時は部屋から出るので、その際に誰か患者さんにやられたか? と考えていました。





Q)患者さんもそうですが、病院スタッフの可能性はありませんか?個室ですし。


坂)ヘルパーさんが「スタッフの仕業じゃないの、これ?」と憤りながら、自分に状況を話してくれたのを覚えています。
自分としてはスタッフが原因だとは思いたくなくて「どうしてこうなったの?」とご本人に聞きましたが、よくわからない回答で困りました。




Q)患者さんは薬の影響等で上手く説明できないことが多いようです。映像がないとこういった不審な怪我や事故がうやむやにされてしまいかねないと思います。弟の場合も最初は自分でやったと病院から説明されました。この病院には監視カメラはなかったのですか?




坂)他のフロアは知りませんが、自分がいたところは病室だけでなく、廊下も含めて監視カメラはゼロでしたね。





Q)その骨折された患者さんはその後どうされましたか?心配ですね。


坂)2ヶ月位あとに精神症状改善により退院、と看護記録にあったと思います。
ただ自分には、この骨折によってADLが低下したことで徘徊や異食ができなくなり、結果として問題行動が無くなったような気もしていました。





Q)それにしても随分と不審な怪我が多発している病院という印象を受けるのですが。



坂)裁判準備で看護記録などを請求して法廷でも弁護士さんが証拠で出しましたから、本当です。
ただ他の病院と比較して怪我が多い病院か、までは分からないです。
自分は看護師になって経験3年、2つの病院しか知りません。
法廷で当時の主任さんが「特に多いと感じたことはないです」とか「自分は医療安全協会の委員で他の病院とも情報交換してます」とか話されてましたから。




Q)病院側はあなたにどのような対応をしましたか?


坂)法廷では皆「虐待だ」「人間性がおかしい」とか、そういう感じでしたね。
あと法廷ではないですが、病院を解雇になる時に理事長先生からも「虐待行為」と言われましたね。
確かに、そう思われても仕方のない行為であると私も思いますし何より、結果として取り返しがつかないことをしてしまったわけですから。
そしてXさんだけでなく、病院やその関係者にも多大なご迷惑をかけてしまったわけですから
証人たちから非難されるのは、当然であると思っています。






Q)人間性がおかしいと証言した病院スタッフとは、事件前の関係はどうでしたか?



坂)みんなと仲良くしてました。人間関係でトラブルはなかったですね。
よく飲みに誘われた記憶があります。






Q)事件発覚後、あなたはどうされましたか?


坂)自殺に失敗して警察に自首するのですが…。
その後、証拠不十分で一度、家に帰されました。
その際に病院側から自殺の可能性があるから、と入院を勧められたことがありました。親にも内緒で誰にも言わずに自首していたもので、親に電話をしないといけないと思って、それで入院を断ったことがありました。
ただ、これだけのことをした自分に、有り難い話だなぁと思いました。






Q)坂本さんは現在何をされているのですか?


坂)自分は看護師はしてません。自分は事件で能力のなさを痛感しました。
ある医大に医療事故予防のセンターがあって、そこでお手伝いをさせて頂いております。
あと当然のこととしてXさんには毎日仏壇で手を合わせておりますし、関西に遺骨を集めて仏像にするお寺さんがありますので、そこでの永代供養を申し込ませていただきました。




追記

この事件は闇の深い事件だと私は思っています。
報道にはなかった証言。それを証言能力なし、とした病院長。
加害者側の視点記事を掲載することはタブーなのかもしれませんが、あまりにも不可解だったので掲載しました。
この記事に関するご意見・ご感想などをコメント(鍵コメも大歓迎)、メール等でいただけましたら幸いです。

ある精神科病院の事件2・目撃証言があった?

目撃者の証言


坂本被告の法廷での供述は、どれくらい客観的な証拠と合っていたのだろうか。実は合わない点がいくつもあった。
法廷では、事件当日の証拠写真として被害者の顔面にアザがあること、被害者と同室で、被害者の両隣のベッドにいる患者さんも殴られていた跡があったことが示された。
しかしこれらについて検察官が一切言及することはなく、むしろ弁護人が写真を提示していた。実は弁護人は、被害者の死亡原因が坂本被告の行為ではなく、ナースステーションに苦情を言いに来た患者Zの暴行であると主張していたのだ。この彼は、事件当日に警察の取り調べを受け、一連の患者たちへの暴行を自供していたのだという。


ここで弁護人が朗読した調書の内容を紹介する。これは被害者の隣にあたるベッドに寝ていて、顔を殴られて鼻血を出していたWという患者の事件当時の警察への証言である。


(質)住所と名前は言えますか?・・・・・(答)(Wさんの住所と本名)             
 今回は何がありましたか?・・・・・Xさんが死んだん?
   Xさんは何をされたのですか?・・・・・布団を被せられた。
   誰に布団を被せられたのですか?・・・・・男の人
   それはD病院の入院患者で見たことはありますか?・・・・・ある。
   Xさんはこの部屋のどこで寝ていましたか?・・・・・ 隣のベッド。 
   犯人は何人でしたか?・・・・・2人。
   そのとき部屋は暗かったですか? 明るかったですか?・・・・・ 暗かった。
   犯人はどこから入ってきましたか?・・・・・そこの扉。
   犯人は何か言っていましたか?・・・・・ 静かにしろ。
   そのとき起きていたのはXさんとWさんだけですか?・・・・・そう。
   Xさんに布団を被せたのは一人ですか二人ですか?・・・・・一人。
   Wさんは犯人を見たのですね?・・・・・はい。
   犯人はXさんの首を絞めたのですか?・・・・・布団を押さえつけた。 
   Wさんは犯人になにか言いましたか?・・・・・死にまっせ。
   死にますよと言ったのですか?・・・・・そう。
   それはXさんに布団を被せた犯人ですか?・・・・・もう一人の方。
   犯人はどうしましたか?・・・・・顔、目を殴ってきた。
   その後、犯人はどうしましたか?・・・・・そこの扉から逃げた。
   その後、WさんはXさんに話しかけましたか?・・・・・うん。
   Xさんは何か答えましたか?・・・・・布団を被ったまま。
   何か答えはありましたか?Xさんから。・・・・・ない。
   犯人を見ればわかりますか?・・・・・うん。
   暗かったと話していましたが、それでもわかりますか?・・・・・自信がない。
   D病院の入院患者さんが犯人と言えますか?・・・・・うん。
   それはなぜですか?・・・・・見たことがあるから。



この患者Wの証言能力について、事件当時、警察官の、患者Wへの事情聴取に立ち会った看護長は、以下のように証言した。

弁護人「質問の内容は、誰が考えたのですか?」
看護長「警察です」

弁護人「あなたは、Wさんの回答をそのまま警察官に伝えましたか?」
看護長「伝えています」

弁護人「事情聴取の部屋にいたのは、あなたとWさん以外は警察ですか?」
看護長「はい」

検察官「あなたはやりとりを聞いて、犯人が二人いるんだなと分かっていたんですか?」
看護長「犯人が二人いるのは、事件的に変な話だなと思いましたので、どうしてそんなこと言うのか、誰が入ってきたのかなって思ってました」

検察官「少なくとも、二人の人物が入ってきたようなことを言ってたのは聞いているのですか?」
看護長「はい、覚えてます」

裁判官「病状の程度はどのくらいのものですか?」
看護長「薬物療法で、日常生活に症状が影響を及ぼすことはほとんど無い状態です」

裁判官「コミュニケーション能力はどうですか?」
看護長「支障をきたしてません」

裁判官「この患者さんは、字を読んで理解できたんですか?」
看護長「はい」

裁判官「どうして『布団を押さえつける』という内容の記載があるんですか?」
看護長「そう発言したからじゃないんでしょうか」

裁判官「答えている時の感じで、印象に残っていることは?」
看護長「意外にしっかり色々覚えているなぁという印象を持ちました」

裁判長「知的能力自体の低下などの症状は?」
看護長「病棟生活では、特に支障きたしてなかったです」


ここで弁護人は証拠として出した、この患者Wの看護記録も読み上げた。
その内容は20件以上あるようだったが、一部を抜粋すると

・暴言を吐く患者について、「あいつ言葉の暴力や」と指摘する。
・自分の誕生日を正確に答えている。
・今日がお彼岸であることを伝えると、「墓参り行かな」という。お墓の場所を尋ねると、「奈良」と間違えずに
 回答される。
・23時過ぎに「一睡も出来ません。薬ください」と、自ら睡眠薬を希望している。
・前日嘔吐したことについて「ゲップしたら透明なのが出た」と答える。他に異常ないことも看護師に伝えている。
・事件当日「隣の人死んだんか?」と看護師に何度も確認していた。

というような日常を過ごしているようだった。



患者Wは犯人が2人であるとしている。暗かったので犯人の顔は分からないらしい。
だが、この患者Wのことを、患者Zが、このとき殴ったことを認めていると、第一発見者の看護師Aは法廷で証言した。


また、この看護師Aは22時、薬を持った坂本被告の後をつけて行く患者Zを見たと証言している。


他にも看護師Aは、22時42分に亡くなっている被害者を、最初は「扉の窓越し」に見たのだというが、坂本被告は22時過ぎの時点で、部屋を去る際の様子を以下のように法廷で述べている。

被告人「扉は開けたまま」
弁護人「どうして」
被告人「ドアのすぐ右にWさんのベッドがあって、暑がりなので、ドアを閉めると蹴るんです。外からの風が入らなくなるから」


検察官は被害者の死亡を招いた腹圧上昇を、坂本被告が被害者が「うつ伏せ」にした結果であるとしていた。
一方で、弁護人たちは、うつ伏せにしただけでは嘔吐するほどに腹圧は上がらず、だからこそ被害者は20分以上も声を出し続けることができたとする。
そこに患者Zが目撃証言にあるように「布団を押さえつけた」結果、更に腹圧が上昇して死亡に繋がったのではないか? これでも司法解剖とは矛盾しない。だから、患者Zが被害者の死亡原因である可能性がある、と主張した。

証人に立った病棟の主任看護師は、患者Zについて「何か刺激がなければ、暴力行為はない人」だが「暴行のリスクはあると考えていた」「騒いでいる患者さんに注意して、それが聞けない状況だと手が出てしまう」と述べている。
これを踏まえて弁護人は「患者Zは、被害者の大声がまさに刺激となって興奮した」と主張した。

また、患者Zの暴力歴については、別の日に若い方の弁護人が証拠を朗読していた。
この弁護士は暴力事件のあった日付と事件内容を10件以上、早口で朗読した後、「この他にもカルテ上、更に20件以上存在している」というように付け加えていたので、合計で30件以上ということになる。







D病院の内情




公判初日、2人いるうち若いほうの弁護人がD病院内の状況についての書面を読み上げた。これは坂本被告がD病院に勤務していた、1年と少しの間の病棟内の事故について、内容は以下だった。

H23/8/2  女性患者が転倒、左眼瞼に1cm×1cmの傷、頭部に10cm×7cm高さ6cmの血腫。
H23/12/25 女性患者が転倒し、左上腕骨を骨折。
H24/3/1  また別の女性患者が左上腕の脱臼。
H24/3/7  女性患者が転倒、目が開かない状態となる。
H24/5/3  女性患者が左肩脱臼、左鎖骨骨折。
H24/5/4  男性患者が他の患者に馬乗りになり殴る。
H24/6/6  男性患者が、大声を上げている患者のベッドに近付き殴ろうとした。翌日もまた殴ろうとする。
H24/9/1  Uさんがベッドから転落、死亡。

上記のような院内の患者の負傷を、早口でこれ以外にも数件述べた。実際、坂本被告は被害者の部屋に向かった際のことを説明する際に

被告人「Xさんがベッドから転落して、頭から落ちて血だらけの中で亡くなっている姿を想像してしまった」
弁護人「どうして?」
被告人「私の事件の少し前に、Uさんという患者さんがベッドから転落して頭から落ちて血だらけになって亡くなった話を聞いていたからです」

と、U氏について触れて述べている。
他にも、この若い弁護士は被害者の健康状態として証拠書面を読み上げた。それによれば、被害者は何度も転落や転落を繰り返しており、平成24年2月7日には出血の量もあり頭部を縫ったそうである。


また院内の暴力事件について、坂本被告は以下のように語っている。

坂本被告は当日の事件前、女性看護師Bと寝る前の配薬で、病棟内を回っていたらしい。

弁護人「そのときのB看護師との会話で印象に残っていることは?」
被告人「どこかの部屋で、ベッドの柵が外れて壁か何かに立てかけられていて、それを見たB看護師が危ない」と言いました」
被告人「それから、昔D病院で殺人事件があった、という話を私にしました。ベッド柵で患者さんが他の患者さんの頭を殴ったという話でした」
被告人「本当に殺人事件?と私が聞き返すと、B看護師は殺人事件だと思いますよと。ドラマで見るように白いロープが人型のようになって、扉のところには”立入禁止”の黄色いテープが逆さまに貼ってあった、というような話を聞きました」

これが上記に出てくる、D病院内での殺人事件の話である。


D病院について坂本被告は、前に勤務していた東京都立の松沢病院と比較して、

「(D病院では)患者同士の喧嘩や転倒などの事故が多いと感じていた」というように公判4日目に述べている。

続いて
「松沢病院では、事件事故があった時にできるだけ早く報告書を書いて、上の方に提出する。それから対応策を 
 病棟内の会で話しあい、その結果は病院全体に周知される」
「D病院では、そもそも看護師によって事件事故とみなす基準が違って、私から見て事件事故でも、報告されないことがあった」
「患者さんの暴力について、先輩方が報告書を書いているのを見たことはなかった」
と、弁護人からの質問に答えていく。

弁護人「転倒転落や患者さんどうしの暴力について、(D病院の)病棟の会で報告がありましたか?」
被告人「なかったと記憶しています」

弁護人「少なくとも、あなたが参加された会ではなかったと?」
被告人「はい」

弁護人「病棟の患者さんについて、松沢とD病院で違いはありましたか?」
被告人「私のいたところは、どちらも介護度の高い患者さんが多かったですが、松沢病院では歩ける患者さんが数人しかいなくて、その数人は穏やかな方でした。A病院では歩ける患者さんが20人近くいて、中には暴力をふるう人もいる状況でした」

弁護人「大声を出している患者さんへの対応で、D病院で教えてもらったことはありますか?」
被告人「消灯後は病棟の患者さんのおむつ交換を、朝までしないように教わりました」

弁護士「どうしてそれが大声対策になるんですか!」
被告人「おむつ交換で目を覚ました患者さんが騒ぎ出さないように」

弁護士「あなたはそうしていましたか?」
被告人「いえ、しませんでした」

弁護士「どうして?」
被告人「おむつ交換は5時間以上、スパンを空けるなと教わっていたから(松沢病院で?)不衛生で、感染症や褥瘡の原因になるからです」

弁護人「実際に大声を出している患者さんには?」
被告人「事前に主治医が指示を出している、不眠時薬を内服してもらって、そのまま何もせず経過を見ることになっていました」

弁護人「松沢では?」
被告人「不眠時薬内服までは同じですが、それでも大声が続けば、その患者さんを部屋から出して安全な場所に避難させることになっていました」

弁護人「どんな場所に?」
被告人「個室があれば、もちろんそこです。ない場合は、病室廊下から離れた所に避難させることになっていた」

弁護人「いまお聞きしたように、松沢病院とD病院では違いがあったようですけど、そのギャップをあなたはどう考えていましたか?」
被告人「悩みを持ちながらも、何とか看護をしていました」


このような院内の状況について、病棟の主任の証言をまとめる。

弁護人「D病院では、隔離拘束はできるだけしない方針ですか?」
主任「減らしていこうという考えでした」

弁護人「それはどうして?」
主任「患者さんの安楽とか、その人らしさから拘束は最小限のほうが治療がはかどるし、患者さんにとっても快適でしょう」

弁護人「高齢者が骨折などをすれば、歩行困難になりますよね?」
主任「そうですね」

検察官「この病棟で起こる事件や事故は多いとか少ないとか、なにか思っていましたか?」
主任「高齢者が多い病棟だったら、一般的な数でしょう。特に多いと感じたことはないです」

弁護人「その根拠は?」
主任「自分は医療安全協会の委員です、○○協会の。そこでよそと情報共有しています」

弁護人「数について一般的とおっしゃる根拠は?」
主任「正確な数は定かではないですね。大体これくらいという話は、そこでしましたけど」

弁護人「Zさんのような、歩けて他の患者さんとトラブルもある人が、なんでこの、高齢者中心の病棟に?」
主任「ドクターの判断ですね。刺激の少ないところなら大丈夫じゃないか、過ごしやすいんじゃないかという判断だと思います」

弁護人「D病院は患者さんが他の病院と比べて早期に退院する、という特徴はありますか?」
主任「早期に退院する形を目指しています」

弁護人「それが特徴になってませんか」
主任「特徴です」

裁判長「急性期が過ぎれば他の病院に転院されるとか、そういうことですか?」
主任「急性期が、社会復帰を理念として目指しているので、早く社会に返そうという考えです」


この点に関連して、坂本被告は法廷で以下のように述べている。
「車イスに(転倒予防のための)ベルトをして座っている患者Nについて、主治医から「骨折したら足腰立たなくなって、(精神科医の指示が必要な)ベルトがいらなくなるから、(老人施設とかに)退院できるようになる。ドンドン外してくれ」と言われたことがあるそうである。








坂本被告に対する判決



D病院の他の看護師たち3名は、この事件当時、個室こそなかったが、被害者を当時移動させられる安全な場所があったそれはICU脇の廊下だ、と主張する。

これに対して坂本被告は、
「当時、そういう発想が浮かばなかった」
「その近くには、心電図をとっている患者さんがいたから、そういう所に大声を上げる患者さんというのは、発想として浮かばない」
「その更に先には、精神的に不安定な方が入る個室があって差し支えるので、やはり浮かばなかった」
「ただ、点滴をしている患者さんの様子見のために、そこに患者さんを連れてくることはありました」

他の看護師たちは、今回の坂本被告の一連の行為を、証言で口々に「虐待である」「そもそも人間性がおかしい」などと強く非難したという。

これを踏まえて検察は

・人の尊厳を踏みにじる行為であること。「自分の家族がこういう目にあったらどうか、考えて欲しい」
・独善的な動機である
・患者第一の精神に欠けた人格である

などを理由として、懲役5年を求刑した。


坂本被告は有罪となる。
「被告の犯行後、他の患者の行為が、被害者の死亡に影響したかは不明だ」
「同じような事件と比べて、坂本被告の行為自体が死の危険が高い行為とは言えない。死亡の予見は困難であっただろう」
「看護師として患者の安全安楽を第一に考えなければならないのに、患者の尊厳を無視した看護師にあるまじき行為を行った。


懲役3年、執行猶予5年


裁判官が坂本被告に言い渡した判決の内容だった。




記事3・坂本氏へのインタビューへ続きます

プロフィール

gunter75

Author:gunter75
このブログは姉である【私個人】がやっています。



●プロフ画像は、弟が薬剤性ジストニアになったあと、友人たちがリレーで色紙を書いてくださり、お見舞いの時にいただいたものです。



●医療法人 石郷岡病院を許しません!!
絶対に諦めません!!(2015/12/31現在、病院からの説明・謝罪等は一切ありません。2012/1/4以来全く接触もありません)


●事件の流れ
2012/1/1石郷岡病院の2准看護師が弟を暴行→1/2朝には病院側は異変に気づきながらも放置。診察もしていないのにも関わらずカルテに「著変なし」、1/3昼過ぎ救急搬送→1/4一時心肺停止するも蘇生→2014/4/28療養先の病院で息を引き取る→2014/4千葉県警千葉中央署捜査第一課捜査開始→2015/7/8石郷岡病院の暴行した2准看護師逮捕→2017/3/14 千葉地裁(高橋康明裁判長)は、正当な医療行為として田中氏無罪、菅原被告に罰金30万の不当判決(公訴時効成立の暴行罪)を下した→3/28検察が控訴

石郷岡事件・経緯←クリックすると経緯の記事を表示します




※拡散以外の目的で文章及び画像等を使用することは固くお断りいたします(個人様のブログ等で精神科への問題提起等のために使用することはOKです)
その際、当ブログのURLを貼っていただければ幸いです。

また、営利目的、金銭の絡む事案及びプロパガンダ目的での文章の利用・引用等もお断りいたします。


※当方は、いかなる団体にも属しておりません。

現在コメント停止中です

最新コメント

カウンター

フリーエリア

フリーエリア

Flag Counter

フリーエリア

検索フォーム

QRコード

QR