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私の記事への圧力

ある方が私の記事石郷岡病院の背後に蠢くものをブログに取り上げてくださったのですが天国へ旅立った22歳の息子へ-向精神薬に奪われた命(私のブログのリンクにもあります)
“誹謗中傷”で削除をされてしまったそうです。

やはりどこも圧力がかかっているのですね。。
石郷岡病院事件の背後に蠢くもの をアメブロの私のブログ内で紹介し多くの方に読んで頂き反響を頂いていたのですが。。今日どの記事か特定なしに、規約違反に反する個人の誹謗中傷が確認されましたので削除しましたとメッセージが入って、その記事がなくなっていました。
ブログの世界にまで国の圧力は及んでいるのですね。
つくづく、国民を助けようとも、真実を伝えようとするものは容赦なく弾圧される国だということがわかりました。




とのことですから、また一つ、石郷岡病院事件への圧力の実態が明るみになったと思います。



ある青年の死 動画

弟の事が番組で放送されました。
NHKハートネットTV・ある青年の死
動画です




Yahooニュースに掲載された、NHKハートネットTV「ある青年の死」

改めて、「精神障害」とは何なのか? ~ NHKハートネットTV『ある青年の死』から




2012年1月1日、千葉県の精神科病院に入院中の青年・陽さんが、頚椎を骨折しました。陽さんは「保護室」と呼ばれる一人部屋に隔離されており、保護室のモニターカメラには、2名の看護師に暴行される陽さんの映像が残っていました。顔面を蹴られたことが、頚椎骨折につながったと見られています。

陽さんは別の病院に搬送されましたが、寝たきりとなり、2014年4月に36歳で亡くなりました。

2人の看護師は逮捕・起訴されましたが、千葉地裁は2017年3月、1人を罰金刑・1人を無罪とする判決を下しました。検察はこれを不服として控訴しています。



NHKハートネットTV『ある青年の死』

2017年12月19日、この事件とその周辺を追ったTVドキュメンタリー『ある青年の死』が、NHKハートネットTVでオンエアされました(番組ページ)。障害者福祉・障害者運動の立場から、この事件に関心を持ち続けてきた私にとっては必見の番組です。私はTVを持っていませんので、ネットカフェに行ってメモを取りながら視聴しました。

番組は、番組の語り手である大麻俊樹ディレクターが、精神科病院で広く行われる「拘束」を体験する場面から始まります。動きたくても動けません。

しかし番組は一貫して、誰か・何者かを「悪」として告発するのではなく、複雑な歴史的経緯とその背景を抜きにして語ることができない現在の精神医療と、そして社会の「精神障害者」観を解きほぐし、静かに語りかけます。


筆者注:

そもそも拘束を行うのは、動かれては困るからです。また、精神科病院だけで行われているわけでもありません。動かれたら困る理由は、「点滴の針や栄養チューブを抜いてしまうかもしれない」「意識が朦朧としている状態でベッドから落ちてしまうかもしれない」など、さまざまです。人権上、拘束は大いに問題なのですが、病院や施設の現在の人員と体制のもとでは、「拘束しかない」という場面が実際に存在する現実を認めないわけにはいきません。

千葉県の事件が起こったのは、精神科病院の保護室の中でした。保護室とは、いわゆる「自傷他害」を防ぐため、寝具からトイレまで配慮を凝らした個室で、通常は閉鎖病棟の中にあります。保護室での処遇もまた、人権上の問題となっています。社会から隔離されただけではなく、精神科病院の中の他の人々から隔離され、狭い部屋の中から出る自由もなくなってしまうからです。





下着を下ろされたまま口に流し込まれる食事

番組の冒頭近くで、保護室のモニターカメラに残っていた陽さんの姿が紹介されています。頚椎骨折に至る暴力を受ける前、日常の夕方のケアを受けているところです。看護師が入ってきて、オムツ交換のために下着を下ろします。ついでその状態のまま、食事の介助が行われます。横になったままの陽さんの口に、夕食の流動食が流し込まれます。この後、オムツが交換され、下着が元に戻されます。所要時間は10分足らずです。

大麻氏は番組の中で、この扱いに「愕然としました」と語っています。

筆者注:

直接知るベテラン精神科看護師・K氏は、「誤嚥のリスクが非常に高いです」と、本人の尊厳にとどまらない問題を指摘しています。




最初の一歩

陽さんが精神科に入院することになったきっかけは、大学時代に引きこもりがちになったことでした。番組には、陽さんの幼少のころからの親友も登場します。小・中・高・予備校時代を共に過ごしたMさんは、陽さんについて「スポーツマンで勉強もできて、男子・女子とも友人が多かった」と語ります。大学に入学して一人暮らしを始めた当初の陽さんは、サークル活動やアルバイトで、友人に囲まれて賑やかに過ごしていたようです。しかし突然のように引きこもり状態となりました。

心配したお父さんは、2001年、陽さんを精神科病院に連れて行きました。医師の診断は「うつ病」、SSRIと呼ばれるタイプの抗うつ剤が処方されました。ところが攻撃性が高まってしまい、見ず知らずの人に暴力を振るうようになってしまいました。


筆者注:

2001年当時の標準的なガイドラインでは、うつ病に対しては、SSRIが第一の選択肢となっていました。陽さんも、当時のごく一般的な処方をされたものと思われます。

「衝動性が高まる」という副作用の存在は1990年代から知られていました。詳細はヒーリー『抗うつ薬の功罪』(出版社ページ) などをご参照ください。

陽さんに処方された薬剤が日本で認可されたのは2000年、厚労省が注意喚起を行ったのは2009年です。





アリ地獄のように


単純なうつ状態とも、他の精神疾患ともつかない状態が続く中、診断も処方も変わっていきました。すると陽さんは、薬の深刻な副作用に苦しむことになりました。見た目も言動も変わり、孤立が深まりました。そのことに対する家族の配慮は、また、結果として孤立を深めてしまいました。それらの成り行きは、主にお父さんの言葉として語られています。可能な選択肢が限られている中で、迷いながら悩みながらベストを尽くしたお父さんは、結果として愛息を失うことになりました。お父さんは番組の中で、時に声をつまらせながら、言葉を選びながら、語り続けます。

前述の友人・Mさんは、その間も陽さんと交友を続けていた一人です。陽さんが違う人間になったわけではなく、「ああ、彼なんだなあ」と感じたと番組の中で語っています。

番組終盤では精神科医が登場し、「薬をやめてみる」という選択が行われなかったことに対する遺憾を表明しています。


筆者注:

たとえば「骨折してギブスをしている」「糖尿病で定期的に通院し、毎日インシュリン注射をしている」という状態の人々に対して、骨折や糖尿病が「その人」そのものになってしまったとは、通常考えられないでしょう。しかし精神障害・精神疾患では、病気が「その人」そのものになってしまったかのような受け止め方が、未だに一般的です。なぜでしょう?





そして事件へ


陽さんの最後の精神科入院は、2011年9月のことでした。番組で紹介された当時の状況では、もはや本来の精神疾患が何だったのか、処方されてきた薬剤の何にどういう功罪があったのか無関係に、混乱した状況にあったようです。そして、2012年1月1日の事件へと至りました。


筆者注:

前出の精神科看護師・Kさんは、この事件に関心を寄せ続けています。事件が起こった千葉県の精神科病院の診断と処方を精査したKさんは、「妥当だったのでは? 不要な薬剤を減らし、副作用を減らし、感情に働きかける内容でした」と語っています。




一人の不運で終わらせられない

番組では限られた時間の中で、日本の精神医療の歴史・向精神剤使用や認可に関する問題点・家族や地域を含めた社会の理解・精神医療の現場の人々の働きやすさなど、非常に数多くの側面から、問題点が静かに提示されています。

精神医療に対して

「こんなことがあって良いとは思わないけれど、事件や事故が起こる現場にも、スタッフの事情があるのだろう、でも、このままで良いとは思えない……」

とグルグル回りになりがちな方は、『ある青年の死』をご覧になれば、どこから・何から手を付けてゆけばよいかの糸口の1つ2つは見いだせるのではないかと思います。

私自身も、問題意識を持ちながら、グルグル回りになる1人です。『ある青年の死』には、大いに心を揺さぶられ、刺激され、忘れがちな大局観を再発見させていただきました。

素晴らしい番組を制作されたスタッフの皆様、そして大麻俊樹ディレクターに感謝します。



「自分もそうなるかも」という想像力を



陽さんのお姉さんからは、『ある青年の死』と制作者に関する意見と思いを聴かせていただくことができました。

「大麻さんは誠実で、タブーとされている精神医療問題に真摯に取り組んでくださっていると思います。短い放送時間ながら、『病院で暴行を受けて亡くなった』というだけではなく、バックグラウンドまで伝えて下さったことに感謝しています」

さらに番組から、障害者への排除の風潮や、そういう風潮への無関心は、特別な人が作ったり加担したりしているわけではないことを教えられた、とも。

「みんなもそういう風潮に加担しているんだよ、みんなもそういう社会を作り出しているんだよ、ということを教えてくれたんだと思います」

いま、自分自身が精神科病院と無縁に過ごせていても、近親者がお世話になるかもしれません。また精神疾患の原因は、高齢化・負傷・身体の病気など、かなり多様です。

「その時、このような精神医療を『よし』としていたら、自分も同じ境遇になるかもしれません。そう考えていただければ」

とお姉さんは語ります。


医療従事者として向き合わなくてはならない実態


前出のベテラン精神科看護師・K氏に番組に関する意見を求めたところ、

「あまりにも衝撃的な精神医療の現状が、正直に伝えられて、よかったと思います。精神医療に従事する人々の中にも、番組に衝撃を受けたという人、『自分のしている仕事を振り返らざるを得なかった』という人がいます」

ということでした。

精神医療に毎日従事する立場で、どのように衝撃だったのでしょうか?

「こんな非人間的な扱いは、看護ではありません。寝かせたまま流動食を食べさせるのは、誤嚥のリスクも高いです。しかも座れる患者さんなのに座らせず、マットも敷かずに床に転がした状態です。人間の尊厳が守れていません。まるで家畜への虐待のようです」

どうすれば、人間の尊厳が守られている状態になるのでしょうか?

「人間に対するケアをするのなら、安全・安楽が基本です。たとえば、食事を食べるために食べやすい環境を作るとか」

下着を取り替え、いくらか気持ちのよい状態になったところで、身体を起こして食事というわけに行かないのが現場の都合なのなら、深刻な人員不足というべきでしょう。番組では、その問題も指摘されています。

「しかし一番の問題は、排泄の介助途中で食事介助をしていることです。終わった後も、マットと枕を投げ捨てて、本人にかけたり敷いたりしていないんです。とんでもない話だと思いました」

K氏は、大麻ディレクターとも面識があります。ご本人に対しては?

「誠実で、『現状を変えたい』という意識をお持ちのようです。今回は、現場の状況を投げかけ、『これでいいのか』と提示されたところでしょう」

しかし、大麻ディレクターと『ある青年の死』に一定の評価をしつつも、K氏には「食い足りない」と感じる部分が残ります。

「少なくとも大麻さんは、現状を正直に伝えようとしてくれています。お父さんの苦悩や、やりきれない思いも、ちゃんと取り上げて伝えてくれていると思います。陽さんの人となり、苦しみ、『自分の人生が、なんでこんなふうになっちゃったんだ』という声も。でも、当事者の声、精神科病院に入院して、保護室への隔離や拘束を経験した当事者の声はありませんでした。医療者の立場、遺族の立場の話が中心でした。医療を受ける側の受け止め方や発信は、入っていません。そこは残念です」


難しいけれど、少しずつ


精神障害者を含め、社会的弱者の声を社会に伝えることは、今、非常に難しくなっている実感があります。

「期待される社会的弱者」像に沿っていない発信は、2016年夏の「貧困女子高生」報道バッシングを思い起こすまでもなく、本人に対するバッシングの引き金になりかねません。

「期待される社会的弱者」像を変えるための発信が、「期待される社会的弱者」像を世間が再確認する契機になってしまうのでは無意味ですが、発信しないわけにはいかない……という板挟みの中で、私も毎日、さまざまな模索を続けています。

日本のあちこちに「自分の期待する社会的弱者」イメージ、言い換えれば「こういう社会的弱者なら存在を許す」という思い、どこかに「自分は他人の人権をコントロールできる場合がある」という前提があるということは、それそのものが、日本の「人権」の問題です。

簡単に変わるものなら、既に変わっているでしょう。

難しいけれど、少しずつ働きかけて、いつか変わる将来に期待するしかありません。

絶望したら、そこで終わります。

私は『ある青年の死』に、絶望はやめようと語りかけられた気がしています。

ある青年の死』は、本記事公開の翌日、2017年12月19日(火) 13時5分よりNHK・Eテレで再放送されます。
ご関心を持たれた方は、どうぞご視聴ください。



みわよしこ





ある青年の死←Veoh動画







石郷岡病院事件・NHKハートネットTV(Eテレ)で放送されます

NHKハートネットTVで石郷岡病院事件ある青年の死 —精神科医療の“よくある治療”の中で—が放送されます。

2017年12月12日(火曜)20時〜20時29分 Eテレ



今年3月、“ある青年の死”をめぐる裁判の判決が下されました。それは、精神科病院に入院していた当時33歳の男性患者が、保護室で2人の病院職員から暴行を受けたのではないかとされる事件。准看護師が患者の頭を踏みつけたとされる監視カメラの映像が証拠として採用されたものの、1人は罰金刑、もう1人には無罪判決が言い渡されました。メディアは当時、不運な精神障害者が被害を受けた病院のスキャンダルとしてこの事件を報じました。しかし、監視カメラの映像は、暴行があったとされる行為の直前に、オムツを替えながら食事をさせられている様子もとらえていました。精神科医療の現場では、人の尊厳は無視されても“致し方ない”ものなのでしょうか?亡くなった患者の名前は陽さん。そもそも彼はどんな人生を歩んで精神科病院に入院することになったのでしょうか? 陽さんが初めて精神科病院にかかった時から事件までの日々をたどると、陽さんの身には、日本の精神科医療の課題が数多く降りかかっていたことが見えてきました。ディレクターが現場を訪ね歩き、"ある青年の死”を通じて、今の精神障害者をとりまく日本の現実を考えます。



弟の親友も、勇気を出して番組に出演してくださいました。
控訴審は3月9日です。
司法には公正な判断を望みます。

「無知」と「不理解」が障害者の人権を脅かす 傷害致死罪を認めなかった千葉地裁判決

下記サイト、堀 辰也氏の記事です。
「無知」と「不理解」が障害者の人権を脅かす 傷害致死罪を認めなかった千葉地裁判決

「無知」と「不理解」が障害者の人権を脅かす
傷害致死罪を認めなかった千葉地裁判決


精神科病院内における患者虐待を、まるで認可するかのような裁判判決が言い渡された。石郷岡病院(千葉市中央区)精神科で発生した、入院患者に対する暴行致死事件。傷害致死の疑いで逮捕された元准看護師2人に対し、千葉地方裁判所は3月14日、1人に無罪、もう1人に罰金わずか30万円の支払いを命じる判決を下した。傷害致死罪の訴えを退けた理由について高橋康明裁判長は、「病室のカメラ映像からは暴行を認定できない」と結論づけたが、暴行を認定できるか否か以前に、映像には、入院患者に対する明らかな虐待行為が記録されている。この様子を、裁判長と裁判員5人が『正常な看護行為』と認めたのであれば、もはやこの国に「障害者の尊厳」など存在しない。



両被告の“詭弁”を鵜呑みにした裁判長と裁判員の無知

2012年1月、統合失調症で石郷岡病院精神科に入院していた33歳(当時)の男性患者が、准看護師らの暴行によって頸椎骨折などの重傷を負わされ、その時の怪我による呼吸不全が原因で14年4月下旬に死亡…というのが、事件の概要。今年2月中旬から始まった裁判員裁判では、意図的な暴行か、業務上の偶発的な事故か…が争点の1つとなったが、証拠採用された映像の不鮮明さがネックとなり、「カメラ映像が犯行の裏付けとしては不十分」と判断された。

 確かに映像は低解像度で、しかも不鮮明なものではあった。が、30歳を過ぎた成人男性を、准看護師らが無理やりフローリングの床へ引き倒し、ズボンも履かせずオムツのままで食事を与えたり、両被告と一緒に保護室に入った女性看護師が、替えのオムツを床に放り投げる様子がはっきりと撮影されている。正常な神経を持った人間で、この様子を「介助」と見なす者は、まずいないだろう。

 証人尋問で両被告は、映像中の暴行が指摘される場面に対し、「患者が手で殴ってきたので腹部を膝で押さえた」「足で蹴りつけてきたのでそれを避けるため、顔をまたごうとしている最中、偶発的に足裏が患者の顔に当たった」(要旨)などと述べている。しかし、よく見てみると、“患者が殴ってきた”場面は、膝で腹部に体重をかけられた被害者が、苦しんで持ち上げた手がポンと当たった程度にしか見えず、“足で蹴りつけてきた”場面も、膝で押さえつけられ、苦しくて足をバタつかせているようにしか見えない。そして、“偶発的に足裏が当たった”場面は、当たったと言うより、いったん頭部を蹴った後、狙いをつけて真っ直ぐに踏みつけているように見える。

 天井部に設置されたカメラ映像という性質上、動きの詳細が確認しづらい角度であり、「証拠」としては不十分かもしれないが、それはすなわち、被告の行為の正当性を立証するにも不十分なものということだ。にも関わらず、裁判長と裁判員は、被告1人の暴行の一部は認めたものの、それ以外の行為については両被告の言い分と、一緒に保護室にいた女性看護師の、「(被害者には)突然暴れ出すなどの衝動行為があり、顔を蹴られたと報告を受けた」、「患者が暴れた場合、看護師が患者の体を押さえる行為は普通にある」という証言を鵜呑みにし、検察側の立証を退けた。

 「傷害致死罪」を成立させるのに、映像だけでは不十分だったかもしれない。しかし、主体的に暴行を行った元准看護師に対する「罰金30万円」は、酒に酔って同席していた客を殴り、全治1~2週間程度のケガを負わせた…程度の暴行事件の判決内容だ。首が前傾(硬直?)している状態の入院患者を踏みつけたり蹴ったりして、頸椎骨折させた(もしくはその原因と思われる衝撃を与えた)者に対する量刑ではない。精神科病院における患者に対する暴力・虐待事件が、これまでにいったい何度繰り返されてきたか。その悪しき風習を改めるため、障害者団体や支援団体、こころざしのある精神科医などが、どれだけ努力してきたかを、全く鑑みていない人間の判断としか思えない。


警察署の捜査怠慢が「記憶の風化」を正当化させた

映像の不鮮明さに加え、暴行からかなりの年月が経過していることも、判決の公平性をねじ曲げる一因となっている。それは、判決後に千葉地裁で行われた会見で、裁判員を務めた男性の1人が「5年前の事件で、証人の記憶も風化していて(判断が)難しかった」と語っていたことからも明らかだ。そして、5年も前の出来事だったため、現場に居合わせた女性看護師の、「(カメラ映像を見て)自分がそこにいたのは分かるが、何が起きたか記憶に残っていない」という、おおよそ医療従事者とは思えない証言を認めざるを得ない状況を作り出した。

 不自然に感じた方もおられると思うが、そもそも、被害者が2012年に暴行を受けて重傷を負った事件の裁判が、なぜ2017年まで行われなかったのか。目撃者や状況記録が全く残っていない事案なら、犯罪を立証するための証拠集めが数年がかりになることもあるが、不鮮明ながらも暴行らしき行為が写された映像があり、被害者の診断書もある事件の起訴が5年後というのは、極めて不自然。その原因を作ったのは、警察の捜査怠慢に他ならない。

 暴行の翌日、被害者には下肢麻痺などの異常が見られ、保護室のカメラで動いていない様子が確認されたにも関わらず、石郷岡病院は適切な処置を一切行わなかった。そして暴行の2日後、被害者は千葉大学病院へ救急搬送され、その翌日には頚椎骨折による頸部腫脹により、一時は心肺停止状態にまで陥っている。

 その段階で被害者家族は、大学病院が出した頚椎骨折の診断書を添え、千葉県警千葉中央署に通報を行った。ところが、警察が実質的な捜査を始め、暴行に関わった准看護師2人を傷害致死の疑いで逮捕したのは、通報から3年数ヵ月が経ち、被害者死亡からも1年以上が経過した15年7月である。仮にこれが一般の病院で、暴行を受けたのが精神障害者でなければ、警察は容疑者逮捕を3年数ヵ月も放置しただろうか。

 一部報道によると、警察は同事件が全国紙に連載記事として取り上げられ、暴行時の映像が複数の動画共有サイトで配信されるようになって、ようやく重い腰を上げたのだという。結局、知的障害者や精神障害者に対する偏見と蔑視が捜査開始を遅らせ、それが「記憶の風化」という言い訳を正当化させ、今回の極めて理不尽な判決に結び付いたのではないか。


必要以上に過激な「業務行為」を上級裁はどう裁くのか


09年末、内閣府は『障がい者制度改革推進本部』を設立し、「こころのバリアフリー」「障害者が安心して暮らしていける社会の実現」に向けた動きが、ようやく盛んになり始めている。しかし、一部の精神科病院による患者への暴力・虐待事件は依然として発生しており、報道されていないものまで含めると、その件数は1990年代からほとんど変わっていない…とする指摘も聞かれる。

 つい先日(3月20日)、厚生労働省が発表した集計によると、精神科病院での強制的な身体拘束や施錠室への隔離件数が、2014年度は過去最多を更新したという。隔離に関しては調査開始の98年度以来、初の1万人超えとなったそうだ。不穏状態や攻撃的な状態の患者の自傷他害を防ぐため、一時的な身体拘束や隔離が必要になることは確かにある。着替えなどの介助を行う際、患者が異常な興奮状態にあれば、力の強い男性職員が覆い被さるようにして患者の身動きを抑えることも、決して珍しいことではない。しかし、それがエスカレートして暴力や虐待になれば、明らかな犯罪行為であり、法をもって裁くのが当然であろう。

 石郷岡病院事件の裁判判決は、『疑わしきは罰せず』の原則に偏り過ぎている。証拠映像だけでは傷害致死を認められなかったにせよ、決して攻撃的な動きはしていない患者に対し、必要以上に乱暴な“業務上の行為”を行っている元准看護師2人に対し、傷害罪の判決を下すことは可能だったはずだ。今回の判決を受け、死亡した被害者の父親は「到底納得できない。検察官には控訴するよう強く求める」とコメントしており、千葉地検の次席検事も「判決内容を精査し、適切に対処したい」と述べている。今回の判決が、上級裁でどのように扱われるかは、我が国における障害者の人権が、今後どのように扱われるかを示唆することになるだろう。





プロフィール

石郷岡病院事件被害者家族

Author:石郷岡病院事件被害者家族
このブログは姉である【私個人】がやっています。



●プロフ画像は、弟が薬剤性ジストニアになったあと、友人たちがリレーで色紙を書いてくださり、お見舞いの時にいただいたものです。



●医療法人 石郷岡病院を許しません!!
絶対に諦めません!!(2015/12/31現在、病院からの説明・謝罪等は一切ありません。2012/1/4以来全く接触もありません)


●事件の流れ
2012/1/1石郷岡病院の2准看護師が弟を暴行→1/2朝には病院側は異変に気づきながらも放置。診察もしていないのにも関わらずカルテに「著変なし」、1/3昼過ぎ救急搬送→1/4一時心肺停止するも蘇生→2014/4/28療養先の病院で息を引き取る→2014/4千葉県警千葉中央署捜査第一課捜査開始→2015/7/8石郷岡病院の暴行した2准看護師逮捕→2017/3/14 千葉地裁(高橋康明裁判長)は、正当な医療行為だったとして田中被告無罪、菅原被告に暴行罪として、罰金30万の不当判決(公訴時効成立の暴行罪)を下した→3/28検察が控訴→2018/3/9東京高裁にて控訴審(栃木力裁判長)の公判が始まる

石郷岡事件・経緯←クリックすると経緯の記事を表示します




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