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ある精神科病院の事件3・インタビュー

坂本氏へのインタビュー




Q)どのような状況で事件を引き起こしたのでしょうか?


坂)消灯後、自分はAさんと一緒にナースステーションにいましたが,その時にXさんが大声をあげているのに気づいたんです。
とにかく甲高い、腹から出ているような叫び声で隣のイスに座ってたAさんも、『今日のXさんすごいねぇ、初めてやねぇこんなん』とか話し掛けてきたほどです。
そしたら22時ちょうどですね、ナースステーションに患者Zさんが「うるさくて寝られへん」と来たんです。
それからAさんに頓服のアモバン10mgを渡されて、自分はXさんの部屋に向かったんです。



Q)Xさんの部屋がナースステーションの近くだったからXさんの声が響いていたのでしょうか?


坂)いや、そこそこ距離ありましたよ。30メートル近いかも知れません。
警察の書類に実測距離が書いてありましたが、それくらいだったような気がします。




Q)Xさんの部屋は相部屋だったのですか?


坂)そうです。6人部屋で、右側に3列ベッドがある、その真ん中でした。




Q)Xさんはどのような状態でしたか?


坂)両手をボクシングのジャブみたいな感じで、空中に向けてずっとパンチしてて。もちろん大声もそのまま。
あと、ベッドの頭側に柵、救急救命の時とかに外すへッドボードというものがあるんですが、そこに頭が乗っていました。
ベッド自体は平らでしたから、自分の手足の力で上っていったのでしょうね。


Q)そんなに手を振り回している状態でアモバンを処方、服用させられたのでしょうか?


坂)与薬の時は、一瞬手が止まったこともあって、スムースでしたね。
Xさんの顔の真横の方から手を出すと、特にパンチとかも当たらなかったです。
でもまた同じような大声とパンチの状態に戻ってしまって。 声かけしてなだめようとしてもダメでした。
このままではまずいと思って。
最初は仰向けの状態で、上体を布団で覆ったんですが、すぐに飛ばされてしまって。



Q)それでXさんを報道されたような状態にしてしまったということですか?


坂)お恥ずかしい話で恐縮ですが、そうなります。




Q)Xさんは寝返りをうてたのでしょうか?


坂)はい、そういう認識でした。





Q)報道では布団を巻き付けた、という話ですが実際はどのようにしたのでしょうか?


坂)布団は体と同じような向き、タテ長ですね。夏の布団です。
その裾をマットレスと体の間に入れ込む感じです。
上は右側を向いた顔のあたりまで入れ込んでいて、下は膝が出るくらいだったように思います。




Q)巻き付けたというより、ドーム状に近いかんじですか?


坂)そんな感じだと思います。寝返れば外れるだろうと考えていました。
そもそも、外れないようにするのなんて無理だと思っていました。
また大声が響いたら、また来て何か対策を考えようと思っていて。




Q)でもXさんはアモバン(睡眠薬)を飲んでいたのですよね?


坂)麻酔と違ってすぐは効かないですから当然、寝る前に寝返るだろうと。
ただ22時の前、21時の定期薬の時にもアモバン10mgが処方されていたのを警察で知ってびっくりしましたね。
すぐに効いて眠ってしまう可能性があったわけで。
自分だけでなく他の人の証言でも、アモバンが連続だったのは知らなかったようです。



Q)処方上限量10㎎の2倍、つまり20㎎のアモバンがXさんに処方されていたことになりますよね?危険ではないですか?これも医師の裁量権ですか?


坂)だから私もびっくりしたんです。
その後Xさんの看護記録を見たら、この日みたいに1日合計20㎎になっていたのが覚えているだけで20例以上あったように記憶してます。






Q)実際のところXさんは、どの程度動くことができましたか?検察側の主張では身体能力の低下が著しく、とありますが?


坂)入浴が一般浴と言って、歩ける人用の方でしたね。歩けない人は、機械浴というものになりました。
Xさんは、手を引いて歩いてもらって入っていました。
あとは、食後に部屋の外から、やっぱり手を引いて部屋まで戻っていましたね。
あとは、カーテン引っ張ったりとかもありましたね。看護記録上でも、私の記憶でもこういう感じです。
車椅子に乗っているときは、両足で踏ん張る形で、後ろにひっくり返ることがあって車椅子利用時は、後ろに壁がある所で過ごしてもらう事になっていましたね。あとはベッドから何度か落ちてたりとか。



Q)しかし結果的にXさんは布団の中で亡くなってしまいました。


坂)おそらく出ようとしても結果として出られなかったのだろうと思います。
今から思えば認知症だったために、どうやって布団を外せばいいのかが分からなかったのではないかと。
そういう感じで仰った専門家証人の医師も居られました。
単に腕の力だけで外そうとしたら、体重が掛かっているのですからかなり難しかったろうと思います。
そう思うと、ずいぶん危険で愚かなことをした、Xさんに申し訳ないなと悔やんでいます。



Q)ところで判決文には「危険性の高い行為とは言えない」と書いてありますよね?


坂)一応そうなっていますが・・・。
これは死因が布団による窒息ではなく嘔吐したことが原因で窒息したから、のようです。
ただ布団から抜けられなければ、やがて窒息しかねないので布団から脱出できない状態はやはり危険だったろうと私は思います。




Q)事件のあった時、目撃者がいたというのは本当でしょうか?


坂)はい、Wさんという方です。





Q)傍聴記録にもありますが、内容を改めて教えていただけますか?


坂)今はもう資料を持っていないので、うろ覚えの点がありますが・・・。たしか、部屋に入ってきたのが二人。一人はXさんに布団を被せ、もう一人のほうが「静かにしろ」と言って布団を押さえつけた、というような内容でした。
で、その人のことを「死ぬよ」とWさんが注意したら、Wさんを殴ってきた。
それでWさんが抵抗したら逃げていった。Xさんはもう声を出さなかった、というような内容だったかと。
顔は暗かったこともあり、見えていないようでした。






Q)あなたは一人で部屋に入ったそうですね?



坂)そうです。なので弁護士さんは、私が部屋を去ったあとで患者さんの誰かが部屋に入ってきて布団を押さえつけ、それで腹圧が上昇して吐いても司法解剖の結果通りになる、というように主張していました。




Q)それからXさんが吐いたということですが?



坂)Xさんは食道裂孔ヘルニアと逆流性食道炎があり、通常の人よりも嘔吐しやすかったようです。    
これは自分だけでなく他の看護師も事件当時は知らなかったことなのですが・・・。




Q)目撃者のWさんは殴られていたそうですね?



坂)はい。Wさんだけでなくもう一人、Xさんを挟んで反対側のベッドのYさんの、合計二人が、鼻血を出していたり顔が腫れている状態でした。この二人と、あとは亡くなられたXさんの顔、額の辺りにも赤い部分があるということで、この3枚の写真が法廷に出ました。




Q)被害者Xさんの両隣の患者さんも怪我をしていたということですか?



坂)ええ、当時はとにかくびっくりしました。少なくとも両隣の人に関しては自分の行為だけで、顔面を負傷するはずが絶対に無いんですから。何が起こったのか?と思いました。
私はWさんの血圧を測ったり、傷の手当とかもしたような覚えがありますが、彼は「やられた」とか言いながら、部屋入り口のドアを指さしていたような気がします。





Q)裁判でも顔を殴られた患者さんの証言能力について争点になったようですね。



坂)実はそれが争点になりました。Wさんの主治医は理事長先生でしたが、このWさんの証言能力を「全くなし」と回答していた書面が出ました。ですが、それまでのWさんの看護記録から証言能力がないようには思えなかったので、弁護士さんはこのWさんの看護記録を証拠として提出し、看護長さんにも証人に立って頂きました。





Q)患者Wさんの証言能力について、裁判ではどのように受け止められたのでしょうか?


坂)判決文に「本件後、他の患者が被せられた布団を、押さえつけたことがうかがわれる」とありますので
恐らくWさんの証言能力は認められたのだと思います。
ただ「その時点や態様、程度は証拠上明らかではなく、死亡に与えた影響も不明」と続いています。





Q)布団を抑えつけたかもしれないという患者さんは?


坂)22時に睡眠剤を貰いに来たZさんという方かも知れません。事件当日、警察の調べを受けていました。
このZさんが、Wさんを殴ったことを認めていたのが法廷でも明らかになりました。





Q)Zさんを事件当日の22時以降に誰も目撃していないというのはなぜでしょうか?


坂)どうも他の看護師の証言によると、アモバンを持って部屋に向かう私の後ろをつけていたそうです。
自分は全く気づかなかったんですが・・・。
あとは10時15分に、またナースステーションに「うるさい」と訴えに来ていますね。
それで今度は、Zさんの頓服の眠剤をAさんが渡しています。
その後25分になると私は彼女に休憩を促されて、休憩室に入ってしまいましたが
このあとも2度、ナースステーションのAさんの元を訪ねているそうです。
その様子は、無言で立ち去ったり、口ごもっていたりした、とのことです。




Q)その後、患者Zさんはどうされているのでしょうか?


坂)弁護士さんいわく、わたしが起訴されて1ヶ月位経った頃に退院され母親と暮らしているそうです。
また少なくともこの裁判当時までは、特にこの件で逮捕や起訴はされていないそうです。
仮に自分だけでなく、患者さんもXさんの死亡の原因になっていたとしても私の罪は変わらないだろう、と私は思います。
それは自分があのような行動をとったせいで、抵抗できずに亡くなられたのだろう、と思うからです。
うつ伏せにして、しかも布団で覆ったりしなければ仮に誰かに襲われたとしても、何らかの抵抗はできたでしょうね。




Q)Xさんをうつぶせにして、布団をドーム状に被せた理由がよくわかりません。



坂)Xさんの怪我を無理に防ごうとしてしまったんです。信じがたいかも知れませんが、そういうことになります。
他の患者さんの暴行や、ベッドから落ちることを恐れたのが原因です。




Q)過去にこの病院で殺人事件があったというのは本当ですか?


坂)事件当日、1時間位前でしょうか。一緒に配役に回っていたBさんから、過去の事件について聞いたんです。
これは法廷でも話しましたが、どこかの部屋でベッドの柵が外れていて、壁か何かに立てかけられていたんです。
それをBさんが「危ない」と言ったんです。続けて「昔、2階の病棟で殺人事件があった」というような話が出て。
ベッド柵で患者さんが他の患者さんの頭だったかを殴ったような話で。
まさかぁ、と思ったから「本当に殺人事件?」と聞いたんです。
するとBさんは「殺人事件だと思いますよ。ドラマのように白いロープが人の型になってて黄色い”立入禁止”テープも貼ってあった」とかそういう話でした。
それでナーバスになり過ぎていたかも知れません。
あとは当時、自分のいたフロアでは骨折とかの大きな怪我が何件か続いていたんです。
それも夜中に多かったので、警戒しすぎてしまったのかも知れません。



Q)随分と病院内で怪我が多発していたようですね。


坂)私の事件の少し前、これは日付も覚えていて2012年の9月1日の早朝ですが、Uさんという男性の方がベッドから転落して亡くなられています。警察も検死に入っています。
自分は連休を頂いていたので詳しいことはわからないですが、血だらけの中で亡くなっていたとか。
抗血液凝固剤のワーファリンを飲まれている方だったようです。事件にはなっていません。
私も事件当時、この一件が頭にイメージで浮かんでいました。




Q)私は弟の事件のせいもあり、やはり精神科病院での怪我は大変気になります。他に印象に残っている患者さんの怪我はありますか?



坂)その病院に勤務して間もない頃、やっぱり夜間だったと思いますが大きなコブを頭部に作った女性がいました。
高さが5センチ以上あって、当然ヨコ幅はもっとあるわけです。長いところで10センチ位あったかもしれません。
これは怖かったですね。漠然と「命に関わるのではないか」と思いました。
その後は特に何もなくすぐに治っていたように思いますけど。
あとは、朝に顔がお岩さんのように腫れ上がっていたのを発見された女性がいました。まぶたが開かなくなっていたと思います。
骨折ですと転倒が原因とわかるのもあれば、夜中で原因不明というものがありました。
その中でも一番印象に残っているのは、ちょうど弟さんのように個室に居ることが多くベッドではなく布団を使われる女性だったのですが、何故か鎖骨を脱臼と骨折を併発した例です。
中腰で立つのがやっとのような方で、移動は四つ足、部屋の中は布団しかなかった状態でした。
原因不明とカルテにあったような気がします。骨粗しょう症という話も出ていなかったですね。




Q)女性の顔にこぶができたり、お岩さんのように腫れたり、個室で布団を使っている女性が鎖骨を骨折と脱臼ですか?そのような怪我は普通にしていたら起こり得ない。弟の事件(石郷岡病院事件)を彷彿とさせる出来事だと思います。



坂)はい。おそらくご自身の筋力では、そんなに肩をぶつけられないでしょう。
この方は3食の食事時は部屋から出るので、その際に誰か患者さんにやられたか? と考えていました。





Q)患者さんもそうですが、病院スタッフの可能性はありませんか?個室ですし。


坂)ヘルパーさんが「スタッフの仕業じゃないの、これ?」と憤りながら、自分に状況を話してくれたのを覚えています。
自分としてはスタッフが原因だとは思いたくなくて「どうしてこうなったの?」とご本人に聞きましたが、よくわからない回答で困りました。




Q)患者さんは薬の影響等で上手く説明できないことが多いようです。映像がないとこういった不審な怪我や事故がうやむやにされてしまいかねないと思います。弟の場合も最初は自分でやったと病院から説明されました。この病院には監視カメラはなかったのですか?




坂)他のフロアは知りませんが、自分がいたところは病室だけでなく、廊下も含めて監視カメラはゼロでしたね。





Q)その骨折された患者さんはその後どうされましたか?心配ですね。


坂)2ヶ月位あとに精神症状改善により退院、と看護記録にあったと思います。
ただ自分には、この骨折によってADLが低下したことで徘徊や異食ができなくなり、結果として問題行動が無くなったような気もしていました。





Q)それにしても随分と不審な怪我が多発している病院という印象を受けるのですが。



坂)裁判準備で看護記録などを請求して法廷でも弁護士さんが証拠で出しましたから、本当です。
ただ他の病院と比較して怪我が多い病院か、までは分からないです。
自分は看護師になって経験3年、2つの病院しか知りません。
法廷で当時の主任さんが「特に多いと感じたことはないです」とか「自分は医療安全協会の委員で他の病院とも情報交換してます」とか話されてましたから。




Q)病院側はあなたにどのような対応をしましたか?


坂)法廷では皆「虐待だ」「人間性がおかしい」とか、そういう感じでしたね。
あと法廷ではないですが、病院を解雇になる時に理事長先生からも「虐待行為」と言われましたね。
確かに、そう思われても仕方のない行為であると私も思いますし何より、結果として取り返しがつかないことをしてしまったわけですから。
そしてXさんだけでなく、病院やその関係者にも多大なご迷惑をかけてしまったわけですから
証人たちから非難されるのは、当然であると思っています。






Q)人間性がおかしいと証言した病院スタッフとは、事件前の関係はどうでしたか?



坂)みんなと仲良くしてました。人間関係でトラブルはなかったですね。
よく飲みに誘われた記憶があります。






Q)事件発覚後、あなたはどうされましたか?


坂)自殺に失敗して警察に自首するのですが…。
その後、証拠不十分で一度、家に帰されました。
その際に病院側から自殺の可能性があるから、と入院を勧められたことがありました。親にも内緒で誰にも言わずに自首していたもので、親に電話をしないといけないと思って、それで入院を断ったことがありました。
ただ、これだけのことをした自分に、有り難い話だなぁと思いました。






Q)坂本さんは現在何をされているのですか?


坂)自分は看護師はしてません。自分は事件で能力のなさを痛感しました。
ある医大に医療事故予防のセンターがあって、そこでお手伝いをさせて頂いております。
あと当然のこととしてXさんには毎日仏壇で手を合わせておりますし、関西に遺骨を集めて仏像にするお寺さんがありますので、そこでの永代供養を申し込ませていただきました。




追記

この事件は闇の深い事件だと私は思っています。
報道にはなかった証言。それを証言能力なし、とした病院長。
加害者側の視点記事を掲載することはタブーなのかもしれませんが、あまりにも不可解だったので掲載しました。
この記事に関するご意見・ご感想などをコメント(鍵コメも大歓迎)、メール等でいただけましたら幸いです。

プロフィール

gunter75

Author:gunter75
このブログは姉である【私個人】がやっています。



●プロフ画像は、弟が薬剤性ジストニアになったあと、友人たちがリレーで色紙を書いてくださり、お見舞いの時にいただいたものです。



●医療法人 石郷岡病院を許しません!!
絶対に諦めません!!(2015/12/31現在、病院からの説明・謝罪等は一切ありません。2012/1/4以来全く接触もありません)


●事件の流れ
2012/1/1石郷岡病院の2准看護師が弟を暴行→1/2朝には病院側は異変に気づきながらも放置。診察もしていないのにも関わらずカルテに「著変なし」、1/3昼過ぎ救急搬送→1/4一時心肺停止するも蘇生→2014/4/28療養先の病院で息を引き取る→2014/4千葉県警千葉中央署捜査第一課捜査開始→2015/7/8石郷岡病院の暴行した2准看護師逮捕→2017/3/14 千葉地裁(高橋康明裁判長)は、正当な医療行為として田中氏無罪、菅原被告に罰金30万の不当判決(公訴時効成立の暴行罪)を下した→3/28検察が控訴

石郷岡事件・経緯←クリックすると経緯の記事を表示します




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