石郷岡病院 裁判 看護師の意見書 part2

イ.保護室での処遇について

保護室は、隔離された空間で、看護の目が行き届きにくい場ですから、定期的な見守りが必要です。観察頻度については、多くの病院で標準となりつつある病院機能評価では「隔離1時間に1回、拘束1時間に4回」とされています。④
さらに、観察者には結果予測義務や危険回避義務があります。
行動制限の基準を規定した昭和63年4月8日厚生省告示第130号 ⑤ では、隔離については「定期的な会話等による注意深い臨床的観察と適当な医療および保護が確保されていなければならないものとする」と示されています。

しかし、保護室の映像を見てみると食事・与薬・オシメ介助以外は、看護師の入室はなく、放置されている状態にみえます。
看護記録上も、9時30分、13時30分、16時と3回しか見回りの記録が残されておらず、検温、血圧測定も認められません。※注1
近づけない程の興奮状態でもないのに、入室しての声がけや、検温、血圧測定も見られないのは、不適切な処遇と言わざるをえません。
隔離は、昭和63年4月8日厚生省告示第130号においても、WHO世界保健機関精神保健ケア法10原則 ⑥ においても、「他に代替手段のない時の最後の方策」です。すなわち、隔離・身体拘束の患者さんは、精神科的には最重症なのです。注意深く、暖かいケアが必要です。
常時動き回り大声を上げて暴力的であるとはとても見えない◯◯さんに対して、放置して声もかけない、というのは不適切です。もしも一人で対応が難しいというのならば、複数看護師で入室すればよいのですから。食事、投薬、オシメ交換以外に、入室せず、マットを敷かず、布団もかけないというのは、放置状態であり、看護としては虐待といってもよいでしょう。

これらからすると、◯◯さんの隔離中の看護は適切なものではないことがわかります。
結論として、◯◯さんの頭部を「足で押さえた」という行為は、看護ケア(患者の抑制行為)としては全く必要がなく、むしろ患者に危害を与えるリスクの高いものであり、また、患者の尊厳・人格を侵害する態様のものであって、極めて不適切な行為であると言わざるを得ません。
精神科病棟内であっても、このような行為が許されるわけはなく、患者に対する安全配慮義務の観点(「医療職のための包括的暴力防止プログラム」P.42)から問題があることは言うまでもありません。さらに言えば、患者の頭部が前屈した状態で固定化していることを認識した上で上部から圧力を加えているのですから、明白に患者虐待、暴力事件であり、傷害罪にあたるものです。
本件のような行為が、仮に「患者の粗暴性ゆえに行われたものである」とすれば、それは従順にケアを受けないことに対する報復的暴力です。
対応の困難な患者に、日々誠実に向かい合っている医療従事者としての立場からしてみればそのような行為まで看護行為と言われることは、看護に対する侮辱であり承服できるものではありません。
病院での看護師の役割は患者さんの苦痛の軽減と回復を助け、権利と尊厳を守り、安心して受けることのできるケアを提供することです。
看護においては、患者さんの安全と安心感に配慮して、大切にされていると感じられるケアの姿勢が重要です。
なによりも、追い詰められた心境や精神状態にある患者さんに対しては、「あなたの味方になりますよ、助けに来ましたよ」という姿勢とメッセージを伝えることが肝心です。(包括的暴力防止プログラムP.28)
チームでの身体介入アプローチでは、なによりも「患者の尊厳」を保つこと、プライドを傷つけないことが重視されます。
これは、ケアを提供する者として、非常に重要な姿勢です。
スタッフが暴力に暴力をもって対応したり、怒りに怒りをもって応ずれば患者に「報復」と受け取られ、患者の再攻撃を刺激してしまうおそれがあります。看護師は治療のため、暴力的な場面で自らが興奮することを戒めなければなりません(「第一に専門職が暴力の被害者にならないために、そして第二に、暴力に過剰に反応することによって専門職側も暴力の主体となってしまう危険性がある」医療職のための包括的プログラムP.11と38参照)
患者が看護ケアへの抵抗などによって陰性感情を持っていた場合でも、その看護者自身の感情をコントロールして、患者さんに対して安全と尊厳を守った看護ケアを提供するのが、看護師の役割です。
精神病者の保護室及び精神保健ケアの改善に関する国連決議(1991年) ⑦ においても、「全ての患者は、不適切な投薬を含む危害、他の患者、スタッフもしくは他人による虐待又は精神的苦痛もしくは身体的不快をもたらず他の行為から保護される」「全ての患者は、最も制限の少ない環境で、最も制限の少ないもしくは最も侵襲的でない治療によって、自己の健康的ニーズ及び他人の身体的安全を護るニーズに適うよう処遇される権利を有する」との決議が採択されています。
急性期・慢性期にある患者が治療の意味を理解できずに医療従事者に対して抵抗を示すことはままることであり、医療現場での患者からの暴力及びそれにどのように対応するかは医療従事者の重大な課題です。1999年の国際看護師協会では、職場における暴力対策のガイドラインが策定され、社団法人日本看護師協会によってそのガイドラインは和訳されています。 ⑧

現場でも、CVPPP等を通じて、いかにして暴力に対応するかについて日々取り組みがなされています。看護師は、患者からの暴力とその対応についても十分に学ぶべきであり、実際にも多くの看護師は暴力についてどのように対応するかを学んでいるのであり、「患者から暴力をふるわれてとっさにやり返してしまった」などという言い訳は医療の現場では認められていません。看護師は症状により判断能力の低下している患者が回復できるよう、患者に対して尊厳をもって対応をすることが求められています。本件は隔離室という密室で行われた虐待と暴力と言えます。
裁判においてあのような行為が看護行為であると認められれば、「精神病棟における医療の実態は悪質であっていい」
ということになり「精神疾患を持つ者への虐待と暴力を認める」ことになります。同じ精神病棟での看護に携わっている者として、患者の権利を擁護する立場から、このような暴力行為に対しては、看護行為ではありえないという適切な判断がされることを望みます。



以上




④ 厚生労働省、日本医師会、日本精神病院協会、日本看護師協会、健康保険組合連合会等の出資によって設立された公益財団法人 日本医療機能評価機構によって、病院機能評価の評価項目が策定され、全国の病院について調査員による調査が行われている。(甲B7)

⑤ 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(甲B8)
【第三十七条】
1 厚生労働大臣は、前条に定めるもののほか、精神病院に入院中の者の処遇について必要な基準を定めることができる。
2 前項の基準が定められたときには、精神科病院の管理者は、その基準を遵守しなければならない。
3 厚生労働大臣は、第一項の基準を定めようとするときは、あらかじめ、社会保障審議会の意見を聴かなければならない。


⑥ WHO(World Health Organization:世界保健機構、国連機関である)が、世界45か国の精神保健法を比較、分析した際に、普遍性のある精神保健分野の法原則を表すことを目的として作成した、精神保健ケア法の基本となる10原則である(甲B9)

⑦ UN Principles for the of Persons with Mental Illness and the Improvement of Mental Health Care(17th Dec 1991)(甲B10)

⑧ 甲B11




※注1…3回のみの入出は2012年1月2日、つまり暴行事件のあった翌日のことだと思います

下記表を作成しました

IMG_9003.jpg


1/1、暴行後暫くして身動きがとれなくなり、翌1/2も1/3も救急搬送されるまで殆ど同じ体勢で身動きが取れない状態が監視ビデオからも見て取れるのに、石郷岡病院は弟を放置しました。
身動きがとれないだけでなく、尿も出ない異変に気づきながらです。


プロフィール

gunter75

Author:gunter75
このブログは姉である【私個人】がやっています。



●プロフ画像は、弟が薬剤性ジストニアになったあと、友人たちがリレーで色紙を書いてくださり、お見舞いの時にいただいたものです。



●医療法人 石郷岡病院を許しません!!
絶対に諦めません!!(2015/12/31現在、病院からの説明・謝罪等は一切ありません。2012/1/4以来全く接触もありません)


●事件の流れ
2012/1/1石郷岡病院の2准看護師が弟を暴行→1/2朝には病院側は異変に気づきながらも放置。診察もしていないのにも関わらずカルテに「著変なし」、1/3昼過ぎ救急搬送→1/4一時心肺停止するも蘇生→2014/4/28療養先の病院で息を引き取る→2014/4千葉県警千葉中央署捜査第一課捜査開始→2015/7/8石郷岡病院の暴行した2准看護師逮捕→2017/3/14 千葉地裁(高橋康明裁判長)は、正当な医療行為として田中氏無罪、菅原被告に罰金30万の不当判決(公訴時効成立の暴行罪)を下した→3/28検察が控訴

石郷岡事件・経緯←クリックすると経緯の記事を表示します




※拡散以外の目的で文章及び画像等を使用することは固くお断りいたします(個人様のブログ等で精神科への問題提起等のために使用することはOKです)
その際、当ブログのURLを貼っていただければ幸いです。

また、営利目的、金銭の絡む事案及びプロパガンダ目的での文章の利用・引用等もお断りいたします。


※当方は、いかなる団体にも属しておりません。

現在コメント停止中です

最新コメント

カウンター

フリーエリア

フリーエリア

Flag Counter

フリーエリア

検索フォーム

QRコード

QR