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医師の意見書(裁判提出・頚椎骨折について)

意見書(裁判に当たって原告側提出の医師の意見書)


◯◯(弟の名前)さんの件                      平成24年10月8日

                            ◯◯県◯◯市
                            ◯◯大学◯◯病院
                            整形外科 准教授
                            ◯◯◯◯



◯◯さんは、平成24年(2012年)1月3日に四肢麻痺となり大学病院に搬送され脊髄損傷と診断されましたが、その原因について問題になっております。この件につき、入手し得た下記資料から、医学的に解析し、意見を述べます。



資料
1.国立◯大学医学部附属病院診断書(平成23年8月7日付、写し)
2.国立◯大学医学部付属病院画像(原本)
3.B病院カルテ(写し)
4.B病院監視カメラ画像(写し)
5.私立◯大学付属病院カルテ(写し)
6.私立◯大学付属病院診断書(平成24年6月7日付、写し)
7.私立◯大学付属病院画像(原本)



まずは、資料2と7の画像所見をまとめ、◯◯さんに何が起こったのかを検討します。
資料2は四肢麻痺となる以前の画像であり、向精神薬の副作用でジストニアを起こし頚椎後弯となってしまう時期の画像です。


資料2、国立◯大学医学部附属病院画像の所見

2002/12/17Xp
Im 1/1,#10138著明な後弯変形、C3、4前方すべり、C3-6著明な後弯変形で、椎体事態も変形、C/6は前方で癒合しつつある。

Im1/1,#10139後屈位と思われるが、#10138と比べるとやや動きあり、下顎と前胸部の間隔は広くなっている。すなわち、まだ骨性に癒合していない。
Im1/1,#10141正面像、頚椎に側湾を認める。




2003/4/1Xp
Im1/1,#3086正面像、頚椎に側湾を認める。2002/12/17と同様。
Im1/1,#3087著明な後弯変形、C2,3,4前方すべり、C3-6著明な後弯変形で、椎体自体も変形、C5/6は前方で癒合しつつある。2002/12/17よりも下顎と前胸部の間隔が少なくなった。
Im1/1,#3038,3039前屈位と後屈位と思われるが、ほとんど動きが見られず、下顎と前胸部の間隔はほぼ消失している。骨性の癒合は、2002/12/17と同様にC5/6のみと思われる。




2003/5/6Xp
Im1/1,#2062著明な後弯変形は変わらず、しかし、下顎と前胸部の間隔が以前よりもあいている。C2の前方すべりは見られない。C3-6の著明な後弯は変わらず、骨性の癒合はC5/6のみ。仰臥位で撮影されたものであろうか?




2003/8/5Xp
Im1/1,#2056著明な後弯変形は変わらず、しかし、下顎と前胸部の間隔が以前よりもさらにあいている。
C2の前方すべりは見られない。C3-6の著明な後弯は変わらず、骨性の癒合はC5/6のみ。仰臥位撮影であろうか?
C3/4,4/5の後弯がやや減少しているか?C1/2の亜脱臼がありそう。これは2003/5/6、2003/4/1のXpでも見られるが、2002/12/17のXpでは見られない。




2003/10/14Xp
Im1/1,#2069著明な後弯変形は変わらず、しかし、下顎と前胸部の間隔が2003/4/1と同様に非常に狭くなっている。C2の前方すべりを若干認める。C3-6の著明な後弯は変わらず、骨性の癒合はC5/6のみ。C1/2の亜脱臼を認める。






2005/9/29Xp
Im1/1,#2050著明な後弯変形は変わらず、しかし、下顎と前胸部の間隔は2003/4/1と2003/5/6の中間程度に開いている。C2の前方すべりは認めない。C3-6の著明な後弯は変わらず、骨性の癒合はC4-6に広がったようだ。
C6/7は骨性の癒合は無いようである。C1/2の亜脱臼を認める。



資料7は四肢麻痺となり搬送された後の画像であり、後弯変形が完成された所に脱臼骨折を起こした外傷急性期の画像です。


資料7、私立◯大学付属病院画像の所見


2012/1/3/CT
C-spine sagittal Img:20著明な後弯は変わらず、ただし、前方要素は後頭骨からC6が骨性に癒合している。C6/7は椎間板腔が著明に開大し、前弯位になっている。C6の椎弓は脊柱管内に陥入し、有効脊柱管前後径を著しく狭めている。脊椎後方要素も後頭骨からC4まで骨性に癒合しており、C3、4の刺突起は正常の形は見られず平坦になっている。C4とC5の後方要素の間に隙間があり、C5とC6の後方要素には著明な段差がある。C6とC7が骨性に癒合していると思われる。

C-spine axial Img:19,20 C4椎弓の下方あるいはC5椎弓の上方に連続性の無いところがあるが、これが骨折とは断言できない。この部分の頭尾側も椎弓が薄くなているので、後弯変形および骨性癒合の過程で徐々に欠損が生じた、と考える方が理解しやすい。


C-spine axial Img:22,23はC6の椎弓が脊柱管内に陥入している部分である。Img22はC6椎弓の先端と思われる。椎体の骨折とも解釈されうる画像であるが、sagittalの画像からは椎体の骨折は認めない。むしろC5の椎弓尾側やや左側を前方に折ったような形状である。





2012/1/4MRI
Sag T2 Image:10 C6/7椎間板が無信号、後咽頭間隙が高信号の中に低信号と無信号が混合、脊髄内にC2-5で高信号となっている。受傷が1月1日だとすると急性期であり、出血はT1で低から等信号、T2で無信号となり、T2では浮腫による高信号が周囲に存在することがある。すなわち、C6/7の椎間板および後咽頭間隙に出血が疑われ、後咽頭間隙には浮腫が存在すると思われる。脊髄内のT2高信号は脊髄損傷を示している。



Ax T2 FSE 1 Image:15,16脊髄の内部に無信号領域を認める。
AX T2 FSE 2 Umage:4-10正常な脊髄が描出されず、脊柱管の狭窄状態が認められる。
Ax T1 Image:15,16脊髄内に出血を伴っている可能性が高い。
Ax T1 2Image:7,8脊髄の著明な圧迫、脊柱管狭窄が認められる。




以上の画像所見から、◯◯さんの頚椎の病態を考察します。
四肢麻痺が出現する直前の頚椎は、著明な後弯を呈し(文献1)、前方要素は後頭骨からC6まで、後方要素ははC7まで骨性に癒合していたと考えられます。骨性に癒合していた為か、2012/1/1までは神経症状は認められなかったようです。その状態の頚椎に何らかの外力が加わり、C6/7椎間板レベルでの開大とC5/6椎弓レベルでの後方要素の骨折を伴い、C6椎弓が脊柱管内に著明に陥入し、これにより脊髄損傷を引き起こしました。




文献1
徳永綾乃、大森一生、金森晶彦ほか:薬剤性ジストニアにより頚椎後弯変形が出現し、両下肢麻痺を生じた1例。
整形外科53巻12号、1537-1539、2002。



中下位頚椎の骨折・脱臼はAllenからの分類が広く使用されております(文献2)が、
それに従うと本外傷はDistractive-Extension Injuryであり、頚椎に過伸展の外力が加わって発生します。
過伸展力は、外力が前額部、顔面、下顎に加えられるときに発生し、最も一般的には高所からの転落、水面への飛び込み、追突事故などで見られます。前額面や顔面の挫創、顔面骨折を伴うことで、外力の方向が証明されます(文献3)。




文献2
種市洋:脊椎・脊髄損傷の分類。ペインクリニック30巻5号、598-608、2009。



文献3
Rene Louis,Christian A. Louis,and Richard Aswad:Extension Injuries of the lower cervical spine.Chapter 34,The cervical spine,Third Edition,Lippincott-Raven Publishers,Philadelphia,p475-785,1998.

002.jpg












上図は文献3にある図を引用したものですが、頚椎の強直性脊椎炎の患者に発生したDistractive Extension Injuryの報告があると記載されています。強直性脊椎炎は椎体が骨性に癒合してしまい、椎間板での可動性を全く失ってしまう病気ですが、その場合に椎間板で開大するような脊椎損傷が起こりうると述べられています。
ここで注目すべきは、本件では、画像所見のところで述べた様に後頭骨からC7まで骨性に癒合しており、強直性脊椎炎と同様の状態になっていたということです。上図はDE,satage1の図ですが、さらに外力が強ければDE,stage2にも当然なりうるでしょう。すなわち、本件は強直性脊椎炎に発生したDE stage2と同様の病態であると考えることができます。
ここで、興味深い文献を提示します(文献4)。本文献は強直性脊椎炎の患者が頚椎損傷を受傷した32例の報告です。受傷原因は転倒が26例であり、その中で些細な転倒が17例あり、それほど強くない外力でも骨折してしまうことが示されています。5例15.6%のみが受傷直後に病院を受診しており、3例、9.4%は24-28時間で、4例、12.5%は48-72時間で病院を受診しておりました。すなわち、通常の頚椎損傷とは異なり、2、3日遅れて異常に気づき病院に行くという例が少なく無いということです。受傷レベルはC6/7での脱臼骨折が最も一般的(10例、31.2%)でありました。最も注目すべきは、受傷時には神経学的に全く問題のなかったのが15例、46.9%おり、その中で2例が遅れて神経症状の悪化をきたして入院時には不全麻痺の状態に陥り、さらに他の1例では受傷後5日で完全麻痺に進展してしまったと報告されていることです。考察では二次的な合併症として記載されており、それには部分的なあるいは完全な完全な脊髄損傷、椎間板ヘルニア、脱臼、硬膜外血腫があり、本外傷が適切に治療されないと予後が悪くなるのはこれらの理由である、と書かれております。



文献4
Fahim Anwar,A.Al-Khayer,G Joseph, et.al:Delayed presentation and diagnosis of cervical spine injuries in long-standing ankylosing spondylitis.Eur Spine J,20:403-407,2011.





すなわち、強直性脊椎炎の患者に、前額部や顔面に外力が加わって引き起こされるDistractive Extension Injuryが起こると、受傷直後は気づかれずに数日遅れて病院を受診することがあり、また、受傷直後は手足を普通に動かしていても数日後に麻痺が出てきて場合によっては完全麻痺になることもあり得る、ということです。
脊椎外傷で神経症状が遅れて出現することは珍しくありません。骨症のない頚髄損傷では、受傷直後のMRIよりも翌日あるいは2,3日後のMRIの方が、髄内信号変化が強く出現します。これは脊髄内の浮腫が2,3日後に最も強くなる為です。怪我をしたときや翌日や2,3日後が最も腫れるのと同じことです。これを反映して受傷直後の神経症状よりも、翌日や2,3日後の神経症状の方が悪くなることは治療上考慮に入れておかなければならない重要な事で、脊髄損傷であれば、麻痺レベルが上がってしまい、場合によっては呼吸筋の麻痺が出てしまうこともあり得ます。例えば受傷直後にC5以下の麻痺があった場合、受傷直後には呼吸できていたものが、翌日に麻痺がC4まで上がり横隔膜神経(C4)の麻痺を起こし人工呼吸器管理になるという可能性は十分にあります。より外圧が軽度の場合、例えば追突事故によるむち打ち損傷等では、事故当日には無症状でも、翌日や2,3日後に頚が痛くなったり手足の痺れが出てくることはよく経験します。骨折が無い場合は、通常これらの症状は時間の経過とともに改善します。すなわち、組織の腫脹、腫れが収まり次第、症状も収まります。しかし、骨折や脱臼等局所に不安定性が存在すると、腫脹はさらに悪化します。骨折や脱臼で、局所の安静・安定化・固定が初期治療で最も重要である理由です。
骨粗鬆症性椎体骨折による遅発性神経障害は、頚椎ではありませんが、胸腰椎移行部に多く発生する椎体骨折に伴い、受傷直後は全く神経症状が無く、数日あるいは数週間後に遅れて下肢麻痺が出現する病態です(文献5)。
外力は軽微であることが多く、骨折自体も受傷直後には判りづらいことが多々あります。時間の経過とともに椎体の変形が進行し、骨折片が脊柱管に突出し、不安定性も相まって神経症状が発現します。すなわち、この病態における神経症状の原因は、骨片による神経圧迫と脊柱の不安定性ですが、骨片による神経圧迫は受傷直後には無く、
脊柱の不安定性も徐々に出現してくるため受傷直後に神経症状は出現しません。受傷後もすぐに病院に行かなかったり、病院に行っても骨折が見逃されたり、しっかりとした固定がなされなかった場合には、上記の理由で神経症状が遅れて出現してしまいます。




文献5
浅野聡、金田清志:骨粗鬆症性脊柱障害-椎体圧潰、後弯変形と神経合併症-。新図説臨床整形外科講座、4胸腰椎、腰椎、仙椎、骨盤、金田清志編集、メジカルビュー社、94-110、1995






本件の病態の特徴は
1.頚椎が著明な後弯を呈しており、しかも後頭骨からC7頚椎までの骨性癒合が完成していること。この状態では仰臥位に寝て頭が床から離れていると、頭の重みで常にDistractive Extension (伸展、後屈)の力が加わることになります。また、この状態で頭部を床に着けようと押し付けるとさらに強いDistractive Extension の力が加わります。
2.麻痺が徐々に出現し、進行したこと。入院先のB病院の記録では、1月1日に暴れた(?)ことが記載され、それ以外に明らかな外傷がありません。
3.顔面に挫創が存在すること。これは私立◯大学付属病院のX線やCTの所見と合わせて、Distractive Extension Injuryであることを示すことですが、その原因となる外力を示すものでもあります。すなわち、顔面に外力が加わったことで、Distractive Extension Injuryとなった、ということです。


これらの事から本件の病態は、1月1日の出来事により顔面に圧力を受け、C6/7レベルのDistractive Extension Injuryとなったが、受傷直後は脱臼の程度がほとんどなかったか、軽微であったために、神経症状は呈さず、動くこともできた。しかし、頚椎の著明な後弯があるために、仰臥位で寝ているだけで脱臼する方向への力が加わり、不安定性が徐々に出現し、受傷部位や脊髄の腫脹が徐々に出現したために、翌日ころから神経症状を呈し始め、脱臼が徐々に進行し、腫脹も増強した受傷後2日頃には完全麻痺にまで至ってしまった。と考えることができます。


それではB病院の監視カメラの画像から、原因となる外力を特定することができるでしょうか。入手したのは2012.1.1,16:00-24:00の映像です。
カメラは天井にあり3次元的な解析には限界がありますが、原因となる外力が加わった可能性があるのは16時14分13秒の出来事のみと思われます。このとき、二人の看護師がおむつ交換の作業を行っていますが、患者が仰臥位で動かないように一人の看護師が上体を抑え、もう一人の看護師が患者の頭側を通った際に患者の頭部あるいは顔面を足で押さえつけるような行動を2,3回とっています。この映像だけではどの程度の強さで行ったのか、判断できませんが、方向的にはDistractive Extension Injuryの力が加わる外力と思われます。患者が側臥位(横向き)で映っている時の頚の角度を見ればわかりますが、仰臥位になったときに後頭部は床につかないと思われます。このように後頭部が浮いている状況で、一人が上体を抑え、もう一人が頭部または顔面を後方に押せば、後湾位で骨性に癒合した頚椎にはDistractive Extension Injuryが起こりうると思われます。この出来事の直後には患者は手を頚に当てていますので、痛みがあったと想像できます。ただし、直後に側臥位の状態で映っていますが、頚椎の前屈の程度には大きな変化は見られません。すなわち、脱臼するなどの形が大きく変わるようなことはなかったと思われます。
その後2,3回看護師が部屋に入ってきておりますが、そのような外力が加わるような出来事は認められませんでした。また患者が一人でいるときに、そのような外力が加わるような出来事は認められませんでした。また、この時間内には、上記の出来事の他はでは、患者は仰臥位では寝ていませんでした。



まとめ
監視カメラに映っている看護師の動作により、頚椎Distractive Extension Injury stage2が発生し、受傷直後には上下肢の麻痺は見られなかったものの、頚椎受傷部位の不安定性と局所の浮腫などにより、遅れて脊髄障害が出現し上下肢の麻痺が生じたと判断することは、医学的に十分可能であると考えます。






 

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gunter75

Author:gunter75
このブログは姉である【私個人】がやっています。



●プロフ画像は、弟が薬剤性ジストニアになったあと、友人たちがリレーで色紙を書いてくださり、お見舞いの時にいただいたものです。



●医療法人 石郷岡病院を許しません!!
絶対に諦めません!!(2015/12/31現在、病院からの説明・謝罪等は一切ありません。2012/1/4以来全く接触もありません)


●事件の流れ
2012/1/1石郷岡病院の2准看護師が弟を暴行→1/2朝には病院側は異変に気づきながらも放置。診察もしていないのにも関わらずカルテに「著変なし」、1/3昼過ぎ救急搬送→1/4一時心肺停止するも蘇生→2014/4/28療養先の病院で息を引き取る→2014/4千葉県警千葉中央署捜査第一課捜査開始→2015/7/8石郷岡病院の暴行した2准看護師逮捕→2017/3/14 千葉地裁(高橋康明裁判長)は、正当な医療行為として田中氏無罪、菅原被告に罰金30万の不当判決(公訴時効成立の暴行罪)を下した→3/28検察が控訴

石郷岡事件・経緯←クリックすると経緯の記事を表示します




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